村井チェアマンが給与3か月30%返納。「Jリーグ内部も大混乱」、統一フォントのユニ供給不足で責任を取り
写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
継続するかは「検討中」。過去にワンタッチパス事業でもクラブに迷惑をかける“前科”。
Jリーグは5月27日に理事会を開き、2020年理念強化配分金活用実績の報告、新競技規則の導入時期(公式サイトで発表へ)についてなど報告があった。その中で、視認性を高めるために2021シーズンに鳴り物入りで初導入されたJリーグ全チーム統一の背番号とネームフォント『Jリーグオフィシャルネーム&ナンバー』で、開幕に向けて背番号とネームの欠品により、ユニフォーム供給の遅延が発生し、Jリーグ内部でも混乱が起きていたことが伝えらえた。そうした責任を取り、村井満チェアマンが給与3か月の30パーセントを自主返納する。
スマホでのサッカーの視聴機会が増えたことで、ユニフォーム背中の文字と背番号の視認性を高めることを目的に、今季、全チーム統一フォントの導入が決定。しかしその背番号とネームの供給が間に合わず、全クラブにとってかき入れ時である開幕時、ユニフォームが品薄になる状況となった。
この問題を把握・検討するため、Jリーグ内部監査室が、外部コンサルティングに調査を委託。3月から5月までの調べで、「在庫管理」「物流会社の業務遂行状況の管理」「メーカーからの納品の欠陥」と、大きく3つの瑕疵が認められた。
監査室の担当者は次のように説明した。
「かなり時間を掛けて検討し、クラブさんを説得しながら事業を進めてきました。最終的にリカバリーしたものの、業務上の執行プロセスにおいて、組織的なマネジメント上の至らないところがいくつか出てしまいました。クラブの皆様にも、お客様にもご迷惑をお掛けした非常に重大な事案だと認識しております。本日組織上の責任が発生した大きな問題だと、理事会で報告させていただきました」
この事業自体の評価、そのうえでの方向性、そして継続するのであれば事業計画などについては、今後、具体的な検討課題となった。
村井チェアマンは次のように説明し、謝罪した。
「納品が開幕に間に合わないのではないかと多大な心配を掛け、最終的には大半が間に合ったものの、その間、相当クラブには負荷をかけました。Jリーグの職員も多くの人手を介してリカバリーし、実は内部的には大混乱の数か月を過ごしました。
過去にJリーグはワンタッチパスのシステム開発事案があり、最終的に納品タイミングに全く間に合わず、クラブに大変ご迷惑を掛けた、前科に近いこともありました。
今回、(統一ナンバー&フォント事業について)大きな方針転換に、多大な心配な声がありました。私は実行委員会の場で、必ず成功してみせる、絶対に問題がないと言い張り、懸念する声を押し切り導入へ舵を切りました。
生産・流通・納品、我々の事業グループであります株式会社Jリーグに委ね、私はそこまで啖呵をきりながら、(開幕直前に)欠品といいますか品薄と知り大慌てする状況になりました。マネジメント、業務執行に対する定期的なモニタリングと報告を受けること、先回りしてリスクを予見して手を打つことなど、十分できなかったと本当に反省しています」
そうした責任により、村井チェアマンは3か月間分の報酬の30パーセントを自主返納すると申し出て、「二度とこうしたことが起こらないように、しっかり体制を整備しながら、次に向かっていきたいと思います」と理事会でも伝えた。
今回問題になったのは「サプライチェーン」の面。第一の目的である「視認性」の検証などはこれからで、村井チェアマンはその供給面の問題をクリアすることで、「事業継続できれば」と私見を述べた。
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[文:サカノワ編集グループ]