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【浦和】鈴木彩艶が「ミス」と悔やんだ失点。J1級を体感したハイネル&川辺駿の規格外ゴール

浦和の鈴木彩艶。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

“価値”ある2失点にしたい。リカルド・ロドリゲス監督「すごくいいシュートだった」。

[J1 17節] 浦和 – 名古屋/2021年5月30日18:00/埼玉スタジアム

 浦和レッズのGK鈴木彩艶が5月26日のJ1リーグ16節サンフレッチェ広島戦(△2-2)のあと、オンラインによる取材に応じて、「いい形で先制したなか、自分のミスでチームの流れを崩してしまい、本当に全て自分の責任です」と、J1リーグのデビューから4試合目に喫した初の失点を悔やんだ。コーナーキックが直接決まったハイネルの得点。18歳の新守護神候補は「自分のミス」と責めていた。

 そして興梠慎三のゴールで2-1とリードして迎えた90+2分、日本代表にも選出される川辺駿のミドルレンジからの一発が、鈴木の伸ばした手をすり抜けゴールネットに突き刺さる。わずかなスペースを正確に突かれた強烈なショットだった。

「ミスしたなかでも勝ち切ることがプラスになると思いましたが、2失点も喫してしまって。勝ち切ることができず、次にはつながるかもしれませんが今日の失点を悔しく思います」

 ハイネル自身も驚いたはずの広島の1点目だが、決してマグレだったわけではない。大きく孤を描きながらゴールへ向かい、そこで誰かが触れてくれれば、あわよくば直接決まるかも――と。意図の込められていたボールだった。確かに、日本人選手では見たことがない軌道だったが。

「ポジショニングはいつも通り取っていて、映像で確認はしますが、予測のところで自分が前に掛かってしまっていたのか。あとは落下地点の判断のところです」と、鈴木は言っていた。すでにルヴァンカップやエリートリーグに臨んでいるが、これまで実績を積んできたユース時代ではありえなかった弾道に違いなかった。まさか、ではあるが、そのようにJ1レベルであれば一瞬の隙を狙ってくる。「ミス」の一つかもしれないが、大切な経験になったに違いなかった。

 その意味でも、川辺のゴールは、まさに国内最高級のシュートだった。あと数センチ、あるいは1センチずれていれば、決まっていなかった。そのスペースを針の一刺しのように、しかも目の覚めるような高速で突いてきた。

 リカルド・ロドリゲス監督は27日の記者会見で、その川辺のゴールについて「私たちの守備(の問題)というだけではなく、すごく本当にいいシュートでした」と振り返っていた。

 鈴木は今後、そういったほんのわずかな可能性を含めて対応が求められる。もちろんこの日も準備していたに違いないが、さらに深く、ディテールまで。そのように守り方の選択肢が増えれば、判断も遅れるかもしれず、一段と難しい対応を求められる。ただ、それもまたGKの道であり、やり甲斐でもあるだろう。そのようにして領域が広がっていくはずだ。

 むしろ、プロとして戦っていく、というよりも、より高い基準のレベルで戦っていくために。そんな“価値”ある2失点だったのではないか。リーグ4試合連続で出場を続けてきたが、30日の名古屋グランパス戦での起用はあるか。起用されれば、一つ分岐点の試合となるだろう。そしてそのあとはU-24日本代表の活動に合流する。

 鈴木彩艶と対峙すると、相手も燃える――。すでにそんな特別な存在感を備えつつある。

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[文:塚越始]

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