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【東京五輪】首都クラブから選出ゼロ。「10番伝説」途絶える

田川亨介は最後までチャンスが与えられたが――。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

FC東京の渡辺剛「小さい頃からの目標は叶いませんでした」。

 日本サッカー協会(JFA)は6月22日、東京オリンピックに臨むU-24日本代表のメンバー18人を発表した。今回、東京を舞台に開催されるものの、首都をホームタウンとするFC東京、東京ヴェルディ、FC町田ゼルビアの3クラブからは一人も選ばれなかった。

 FC東京は2000年のJ1昇格後、2004年のアテネ五輪から全大会で所属選手がメンバー入りしてきた。また、2008年の北京五輪で梶山陽平、2012年のロンドン五輪で東慶悟、そして2016年のリオデジャネイロ五輪で中島翔哉と、3大会連続で「背番号10」の選手を輩出してきた歴史も、ここで途絶えることになった。

 もちろん昨季はルヴァンカップを制したように、チームが育成に力を注ぐ一方で、より「タイトル=勝負」にこだわる態勢をとってきたことも起因するだろう。何より日本全体で見られる若い人材のヨーロッパへの流出なども影響している。そこにはJリーグの外国籍選手枠拡大なども関連してくる。一方、3月に東京五輪世代に起きた規律違反も、結果的に厳しい逆風をもたらした。

 新型コロナウイルスの影響を受け1年開催が遅れたとはいえ、FC東京としても、この祭典で存在価値を示し、“世界”へ突き抜けていくキッカケとしたかったはず。それだけにバックアップメンバーを含めて一人も選出されなかったのは痛恨と言える(久保建英が2019年夏まで在籍していたが……)。田川亨介が6月の“最終選考”までチャンスが与えられたあたりには、日本サッカー協会(JFA)の配慮も垣間見えた。

 センターバックとしてメンバー入りが期待されていた渡辺剛は、自身のツイッター(アカウントは @0120666 )で、次のようにつぶやいた。

「小さい頃からの目標は叶いませんでした。多くの方々から応援されてここまできました。期待に応えられず申し訳ない気持ちと悔しい気持ちでいっぱいです。ですがここからまた次の目標に向けてひたすら頑張りたいと思います。次こそは叶えられるように。これからも応援よろしくお願いします」

 もちろん、選手にとって五輪はあくまでも通過点だ。やはり祭典の色が濃く、運も大きく影響する大会である。悔しさを糧に、日本代表入り、そして来年のカタール・ワールドカップ(W杯)とその先を目指すことになる。

 一方、「首都・東京」がホームタウンである強みと価値は何か――。大切にしてきたカラーが薄れていないか? FC東京をはじめ3クラブはこの選出ゼロを受けて、今一度、そういったアイデンティティや根源的なところを突き詰める機会にしたい。

 東京オリンピック日本代表メンバーは次の通り。

GK 1 大迫敬介(サンフレッチェ広島)
GK 12 谷 晃生(湘南ベルマーレ)
DF 2 酒井宏樹 (オリンピック・マルセイユ → 浦和レッズ)※OA
DF 3 中山雄太(PECズヴォレ)
DF 4 板倉滉(フローニンゲン)
DF 5 吉田麻也(UCサンプドリア/イタリア)※OA
DF 13 旗手怜央(川崎フロンターレ)
DF 14 冨安健洋(ボローニャFC/イタリア)
DF 15 橋岡大樹(シントトロイデンVV/ベルギー)
MF 6 遠藤 航(シュトゥットガルト/ドイツ)※OA
MF 7 久保建英(ヘタフェ → レアル・マドリード/スペイン)
MF 8 三好康児(アントワープ/ベルギー)
MF 10 堂安律(ビーレフェルト/ドイツ → PSVアイントホーフェン/オランダ)
MF 11 三笘 薫(川崎フロンターレ)
MF 16 相馬勇紀(名古屋グランパス)
MF 17 田中 碧(川崎フロンターレ)
FW 9 前田大然(横浜F・マリノス)
FW 18 上田綺世(鹿島アントラーズ)

◆バックアップメンバー◆
鈴木彩艶(浦和レッズ) 
町田浩樹(鹿島アントラーズ) 
瀬古歩夢(セレッソ大阪) 
林 大地(サガン鳥栖)

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[文:サカノワ編集グループ]

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