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「禁断の移籍、賛否両論あると思う。本気で優勝する力になりたかった」磐田移籍の金子翔太が清水との“歴史的”合同記者会見で覚悟を語る

清水から磐田に加入した金子翔太。両クラブ合同で記者会見が行われた。協力:ジュビロ磐田・清水エスパルス

最短で17日のホーム山形戦から出場可能に。

 清水エスパルスからジュビロ磐田へ今季末までの期限付き移籍が決まったMF金子翔太(KANEKO Shota)が7月14日、両クラブ合同という“歴史的”な形でのオンラインの記者会見に臨んだ。26歳の攻撃的ミッドフィルダーは「歴史あるクラブだと実感し、本当に重みのある移籍だと思っています」と気持ちを新たにし、新天地での決意を語った。

 冒頭、清水の広報担当者からは「清水エスパルスにとって大切な人材。快く送り出して、ジュビロさんのJ2優勝・J1復帰に大きく貢献し、ひいては静岡県内のサッカーを盛り上げてもらいたいという思いがありました」と説明。そういった両クラブの思いが合致しての合同会見になった。

 金子は今回の移籍について、次のように経緯を説明した。

「今シーズン、ロティーナ新監督のもと自分自身、必ず活躍してみせる、もう一度ブレイクしたい、爆発的な活躍をしたいと思っていましたが、なかなか思うように出場機会を得られず、リーグ戦は5試合、110分ほどの時間しか出られず悔しい思いをしていました。それでも清水で立場を逆転させたい、結果で示してレギュラーポジションを獲りたいと思っていました」

 そして7月7日の天皇杯3回戦のグルージャ盛岡戦(〇2-1)は「自分に残された最後のチャンスだと思って臨みました」。ただ先発出場した金子だが、「チームは勝ちましたが具体的な数字を残せず、状況は一変しませんでした」と力不足を実感した。

 そうしたなかリーグ中断のタイミングで、磐田からレンタル移籍の正式オファーが届いた。

「考える時間は1、2日と限られたなか、ジュビロの強化部の方や監督とお話するなか、『必要とされているんだ』と、輝ける場所を提供したいというジュビロさんからの熱意をすごく感じました」

 必要とされている――。金子はそれがとても嬉しかった。

 2018年に二桁の10ゴールを決めたが、ここ3年間は納得の成績を収められずにいた。そして技巧派アタッカーは「移籍することでもう一皮むけて、本来のパフォーマンスを出したい。強い覚悟と気持ちで決断しました」。

 とはいえ、現在カテゴリーは異なるものの、静岡県内の最大のライバル間の移籍である。磐田のユニフォームを着ることについて、正直なところ、本人もまだ違和感があるとも語った。

「一般的には『禁断の移籍』と言われておかしくありません。賛否両論あると思います。良く思う方も、悪く思う方もいるといるはずです。自分自身で決断しました。ライバルクラブのジュビロに移籍するとは自分自身も思っていませんでした。まだ違和感と言いますか、どこか不思議な気持ちでいます。それでもジュビロをJ1に復活させたい、自分の全ての力を捧げて優勝させたいと本気で思いました」

 鈴木政一監督のもとでは、ユース日本代表時代にプレーしている。その指揮官の後押しも嬉しかったそうだ。

「実際に監督と話す機会もいただきました。ずっと気になってて下さったと言われました。アンダーカテゴリーの時とは立場も全然違いますが、監督からは自分のプレースタイルを存分に発揮し、『伸び伸びプレーしてほしい』と言ってもらいました。監督のためにも昇格させる強い気持ちです」

 そして具体的にピッチ上では、「攻守にわたってかき回すプレーを見せたい」と意欲を見せる。移籍ウインドウ(第2の移籍ウインドー)が開く16日に選手登録が済めば、17日のホームでのモンテディオ山形戦から出場が可能になる。山形を率いるのは昨季途中まで清水を率いていたピーター・クラモフスキー監督だ。

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[文:塚越始]

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