再びサッカー人生を歩むなら、川口能活がやりたいポジションは?│引退記者会見
引退記者会見を行ったSC相模原の川口能活。(C)SAKANOWA
彼は胸を張って言った。「ゴールキーパーは格好いい」
SC相模原の川口能活が11月14日、相模原市役所で引退記者会見を行った。63社のメディアの前で、様々なシーンでゴールを守り抜いてきた日本の守護神が、これまでとこれからのサッカー人生について語った。
引退を決断理由について川口は、「この1、2年、続けるかどうかの狭間で揺れていた。今年のロシア・ワールドカップ(W杯)の日本代表の戦いぶり、それから各カテゴリー(年代別代表)の戦いぶりを見て、僕の若いときよりもGKは明らかに上のレベルにあり、世界で戦える日本のサッカーになってきていると感じた。その状況のなか、違った形で貢献していきたいと決断しました」と明かした。
横浜マリノス(現・F・マリノス)でキャリアをスタートさせて、プロとして25年間戦ってきた。最後の3シーズンは、SC相模原の象徴としてチームを支え、牽引してきた。今後は「自分はサッカーでこの人生を歩んできました。現場の指導者として、自分の経験したことを伝えていきたい。同時に、世界のサッカーはどんどん進化しているので、勉強していきたい。指導者としての歩みを進めたい」と、後進を育てていく考えを示した。
また、もう一度サッカー人生を歩むならば、どのポジションをやりたいか? そう聞かれた彼は迷わず胸を張って答えた。
「大変なこともありましたけれど、僕はゴールキーパーの練習がまず好きでした。最初に『キーパー格好いいな』って思いました。もう一度サッカーをやるとしても、ゴールキーパーを選びます」
彼が何より伝えたいこと――。それは誰がなんと言おうと「GKは格好いい」ということだった。
「GKが人気のあるポジションになるため、どうしたら『キーパーをやりたい』と思ってもらえるか。GKのプレーの格好良さを伝えていきたい。もちろん、ただセービングすればいい、ダイブすればいいわけではありません。それでも、派手なプレーと言いますか、GKの動きが格好いいんだと思ってプレーするところから入るのも、ありだと思っています。
フォームや形にこだわり、見栄えって僕は大事だと思っています。容姿は関係ありません。プレーの格好良さのところで、そういう選手が出てくる、あるいは育てられればと思っています。もちろんノウハウもないですし、実績もないので、これからそういうことを勉強していきたいです」
日本一のGKを育てる。そんな川口の新たな野望であり、挑戦が始まる。
ただし、その前に、まだ現役としての戦いを残す。SC相模原で、あと3試合。12月2日(午後1時開始)のホームで迎える最終34節・鹿児島ユナイテッド戦の試合後には、引退セレモニーが予定されている。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI