【森保ジャパンへの推薦状】スイス2年目、左SB鈴木冬一にチャンスを。若くてクレバーかつ闘えるレフティ
鈴木冬一。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
ローザンヌの主力に定着。ボランチ的な役割もこなす21歳の現代的サイドバック。
カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の10月2連戦に臨むサッカー日本代表(SAMURAI BLUE)のメンバーが、いよいよ発表される。
1勝1敗とスタートに躓いた日本に対し、いずれも2連勝中でありBグループ最大のライバル、サウジアラビア代表(7日、アウェー)、オーストラリア代表(ホーム、埼玉スタジアム)に挑む。
左サイドバックは長きにわたり主力を担ってきた長友佑都の後継者が不在だと言われてきた。最近では安西幸輝、小川諒也、中山雄太らが起用されてきたが、ポジションを奪い切るようなストロングポイントを示せずにいる。
一方、これまでの公式戦はアジア3次予選など相手のレベルも決して高いとは言えず、そうしたなかでも森保一監督が長友に“依存”してきてしまった一面もある。
ともに戦ってきた吉田麻也らとの阿吽の呼吸は確かにプラスをもたらす部分もある。が、9月の最終予選2試合では、サイドバックからの打開の回数もアイデアも限られ、その精度も低かった。サイドバックがいかに戦い方の厚みを加えていくのか。それが大きな課題に挙がった。
森保監督のスタイルであれば、本来、サイドバックは守備に軸足を置きながら、何度も相手ゴールラインまで駆け上がり、味方をフォローするだけでなく、追い越す動きから数的優位を作り出すことが求められるはず。また、9月シリーズでは、最終ラインからタテの変化をつけられなかったことも苦戦の要因の一つに挙げられ、そんな始点としての役割も期待される。
攻撃面のあらゆるテーマ改善へ――左サイドで確実に起点となり、攻撃のスタートとなれる。そんなタレントが、スイス1部リーグにいる。
FCローザンヌ・スポルトの鈴木冬一だ。
湘南ベルマーレから昨年12月に移籍した21歳のレフティである。
ローザンヌではさっそく主力に定着し、昨季スイス1部リーグ19試合・2得点でリーグ残留に貢献。今季も出場停止を除く全7試合(公式戦9試合)でフル出場を続けている。ただチームはリーグ最下位と苦しんでいる。
左サイドバックを主戦場に、チーム事情によっては中盤でもプレーする。守備面でまだ課題を抱えるものの、森保ジャパンのいくつもの課題を解決できてしまう、そんな可能性のあるタレントの一人と言っていい。
何より鈴木は2019年のポーランドU-20ワールドカップに、U-20日本代表として3試合に左サイドバックとして出場(2試合先発)している。そこで海外スカウトからも高い評価を得た一人である。
ボランチ的な役割をもこなす現代的なサイドバックと言える。ただこれまでA代表歴はない。森保監督には逆に評価されにくくなっているのか。
最終ラインで攻撃の始点となり、なおかつ素早く前線をフォローする。そして左足から繰り出す長短のキックで、決定機をも作り出す。そんな理想の一人を、今回、中東で初戦を迎えるシリーズで、ぜひ招集できないだろうか。
湘南では替えの利かない存在だった。果たして、現在どのような進化を遂げているのか。できれば日の丸のユニフォームに袖を通して――。その姿を多くの人が楽しみにもしている。
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[文:サカノワ編集グループ]