オフサイド疑惑にVAR担当審判が反論「誤解を生む切り抜き写真が横行してますが」。C大阪-横浜FM戦、加藤陸次樹の決勝弾で
C大阪の加藤陸次樹。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
一方で、「『微妙ってなんだよ! 微妙じゃなく完全にでてるし』と感じられる方のお気持ちも意見もよくわかります」と理解を示す。
[J1リーグ 33節] C大阪 2-1 横浜FM/ 2021年10月24日19:03/ヨドコウ桜スタジアム
J1リーグ33節、セレッソ大阪が2-1で横浜F・マリノスに勝利を収めた一戦、21分の加藤陸次樹のゴールがオフサイドだったのではないか? とSNS上で話題になった。するとこの試合のVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を担当していた審判がSNSでその“疑惑”について状況を説明したうえで否定。一方、そういった議論が起きたことについては理解を示している。
乾貴士の先制点によりホームチームがリードしで迎えた21分、藤田直之の敵陣を切り裂く縦パスが松田力に通る。そのまま持ち込んだ松田の左からの横パスを、加藤がしっかり合わせてゴールネットを揺らした。
この松田のパスを出した瞬間、加藤がオフサイドのポジションにいたのではないか? という横から捉えた画像がSNS上で拡散された。
確かにパッと見た印象は、オフサイドのように見える。しかしオフサイドラインは非常にデリケートで、遠近によって、見る角度、引く線、蹴った瞬間をいつに捉えるか、によって、「実際」は異なってくる。今回も芝生の整備されたラインを見ると、加藤が決して“完全にオフサイド”ではないことが分かる。
この試合のVARを担当した家本政明氏は、自身のツイッター(@referee_iemoto)で次のように“解説”した。
「誤解を生む切り抜き写真が横行してますが、蹴った瞬間とラインを引く位置が間違ったものばかりです。
それと日本ではオフサイドチェックが『3Dライン』ではないので、空中にある体部分が『微妙に』出ているように見えたとしても『疑わしきは罰せず』で、現場の判断をフォローする決まりになってます」
そのように“明らかな”オフサイドであれば、VARの判定が自動的に採用されるが、VARを含め曖昧であれば現場の副審・主審の判定が尊重される。完璧なオフサイドラインなどない、という拠り所に立っている。
一方、家元氏は次のようにも理解を示す。
「とはいえ、『これ絶対オフサイド! ○○でてるし』とか『微妙ってなんだよ! 微妙じゃなく完全にでてるし』と感じられる方のお気持ちも意見もよくわかりますし、尊重いたします」
まず選手たちのプレーを最も近い位置で見ている主審、副審の判定や意見が尊重される。そこで確認しきれない部分をVARがカバーする。
今回VARの担当審判が直接声を上げたことで、その補完関係や最前線に立っている主審・副審への理解について、改めて考える機会にもなりそうだ。
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[文:サカノワ編集グループ]