本田圭佑のハリル氏「服従」「恥ずかしい」発言、NHKのSNSが騒動に拍車をかける事態に
本田圭佑 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
本田はハリル前指揮官に、「部下に尊敬される、愛のある監督」と語っていた。
パチューカに所属する日本代表MF本田圭佑が5月14日にNHK『プロフェッショナル仕事の流儀』に登場し、FIFAワールドカップ・ロシア大会前の心境を語った。ヴァヒド・ハリルホジッチ前監督が解任される前の4月1日までに取材を終えていたという内容だが、NHKが公式twitterで本田が発言した「ハリルのやるサッカーに全てを服従して選ばれていく、そのことの方が僕は恥ずかしい」などという部分を強調したことで炎上し、大きな議論を呼んでいる。
NHKの公式twitterは22時25分からの放送前に、本田の印象的な言葉をピックアップ。そのなかで18時に、次のような文言をつぶやいた。
「【本田圭佑 独占インタビュー】「悔いはないです。ハリルのやるサッカーに全てを服従して選ばれていく、そのことの方が僕は恥ずかしいと思っているので。自分を貫いたという自分に誇りに持っています」。4月1日収録のラストインタビューにて」
ハリルホジッチ前監督が解任されたのが4月7日だった(日本サッカー協会からの発表は9日)。取材は3月のマリ、ウクライナと対戦したベルギー遠征を終えた直後に行われたことになる。
その時の前指揮官に対する発言を、ワールドカップに向けた最後の親善試合前のメンバー発表が近づくこのタイミングに強調する意味があったのかは疑問に残る。本田の発言以上に、その報道の仕方に問題があったようにも感じる。
本田をフォローするのであれば、例えば『もしもワールドカップのメンバーから落選したのであれば?』といった質問に対し、上記のように答えていたのであれば、少し理解できる。
結果的に、本田がレギュラーとして出場していたワールドカップ・アジア予選など多くの試合では、ポゼッションをベースに、ハリルホジッチ前監督の標榜する縦に素早く攻めるスタイルを加えて勝利を収めていった。そういったポゼッションを大事にする「俺」を貫いたことで結果を残し、日本代表に貢献できたというプライド。そう解釈すると、「俺」は本田のみならず、落選した選手の気持ちの代弁のように捉えられる。
とはいえ、今回は放送前からNHKが「ハリルホジッチ前監督の解任の舞台裏を語る」などと煽り気味だったこともあり(そのtweetは削除された)、この発言を巡って騒動に拍車がかかってしまった。
さらに、今回も発言の一部を切り取ってSNSに配信することで、むしろ『反乱分子=本田』というイメージを、このタイミングで植え付けるネガティブな展開を招いている。放送でもそこの発言が冒頭と最後に二度取り上げられていた。
本田はハリルホジッチ前監督に対して、「部下に尊敬される、愛のある監督」と敬意を表していたこともある。
今回どのような意図をもって発言したのかはこの部分だけでは分からない。ただし、ワールドカップ開幕を控え、その様々な意図をもって編集された放送により、本田と日本サッカー界に対する不信感が深まってしまったのは非常に残念でならないことだ。
文:サカノワ編集グループ