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【日本代表 ポジション考察】SB問題は「遠藤航」で解決? 3バック採用も

浦和レッズの遠藤航。 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

西野監督はポリバレント重視を強調も、「攻撃オプション」が見当たらず。

 キリンチャレンジカップのガーナ戦(5月30日)に臨む日本代表は今日5月21日からキャンプを開始し、オフを終えた選手が段階的にチームに合流する。実質的には26日から本格的な全体練習に突入する。FIFAワールドカップ・ロシア大会に向けて、いよいよボルテージが高まってきそうだ。

 今回の日本代表27人のメンバーリストについて、西野朗監督は「固執したシステムやポジションだけではなく、ポリバレントに複数のポジションをこなせる選手がたくさんいると思う。柔軟に対応する力、(様々な)戦い方、戦術・戦略を選手には持ってほしい」と語っていた。メンバーはヴァヒド・ハリルホジッチ前監督時代のメンバーが踏襲。基本的には4-2-31や4-3-3に対応できる、それぞれのポジションに2~3人が選出されていることが分かる。

 その中で、ハリルホジッチ前監督が「最適解」を見出せず模索していたのが、サイドバックだった。長友佑都のガラタサライでの復活は日本代表にとってポジティブな要素だが、一方で、酒井宏樹は4月の左ヒザ側副靭帯損傷から復帰したもののUEFAカップ決勝のアトレチコ・マドリー戦は欠場するなど万全ではない(ちなみに今季は左SBが主戦場だった)。酒井高徳は主将としてハンブルクでプレーしてきたが、チームはクラブ史上初の2部リーグ降格に。加えて日本代表では先のベルギー遠征をはじめ精彩を欠くプレーが続いている。

 ハリルホジッチ監督は様々なテストを続け、ベルギー遠征では「これから二人に競わせる」と言って、車屋紳太郎(川崎フロンターレ)、宇賀神友弥(浦和レッズ)を招集した。しかし宇賀神はマリ戦で前半のみで交代させられ、車屋は出場機会を得られず……いずれも好アピールをできなかった。

 また、前指揮官はユニオン・ベルリン時代の内田篤人に二度、日本代表への招集レターを送りながら本人の負傷により「復帰」は実現しなかった。そういったタレントのプレースタイルからは、サイド攻撃に厚みを加えられるタレントを欲していたことが分かる。

 西野監督は今回、長友、酒井宏、酒井高を変わらず招集した。おそらく、それぞれの選手が両サイドをできると踏んでいるのだろう。または槙野智章のサイド起用も選択肢の一つに入っているか。

 さらに遠藤航、長谷部誠あたりもサイドバックの経験がある。西野監督のコメントから推測すると、特に遠藤にそんな「ポリバレント」を期待している印象だ。

 サイド攻撃を武器とする対戦相手に、左右どちらかに酒井宏または遠藤、一方に長友といった起用法もあり得る。とりわけ初戦で対戦するコロンビアのサイドアタックは強力で、状況に応じて、ハメス・ロドリエスの右ウイング起用もオプションにある。守備重視であれば遠藤先発の可能性もあり得るわけだ。

 しかし遠藤は浦和でも一時期4バックの右サイドで起用されてきたが、守備の対応はまずまずでも攻撃に厚みを加えられず、今季のチームの低迷を招く一因にもなっていた。オズワルド・オリヴェイラ監督のもとではストッパーとボランチで起用されているが、やはり攻撃面で課題を残す。

 そこで浮上するのが、日本代表の3-4-2-1など3バックの採用だ。長谷部のリベロ起用、吉田麻也のリベロ&ストッパー起用など選択肢は増える。西野監督は「グループやユニットでの効果も考える」と語っており、遠藤、槙野の「浦和セット」をそのまま両ストッパーで使えるのは、本番までの限られた時間を考えるとメリットに挙げられる。

  ただ、結果的にハリルホジッチ前監督が模索していたサイドの「攻撃オプション」が、今回の西野監督のリストに不足している感は否めない。柏好文(広島)、室屋成(FC東京)、小川大貴(磐田)、山中亮輔(横浜FM)……週末のJリーグを観ていても、もしも、日本代表に入っていたら面白そうだった……というタレントは数多くいた。彼らは今季とにかく好調であり、サイドから攻撃のスイッチを入れる役割を担ってきたが……。

 もちろん時間がなかったことは分かるが、サイドバックの人選からも「守備的」である印象を受けてしまう。基本的には守備と攻撃を「分業」する戦い方のイメージが浮かび上がる。

 いかにサイドを抑え、いかにサイドから攻略するのか。残り3度のテストマッチで、西野監督がどのような突破口を示していくのか。そして本番のワールドカップに臨むのか。そこは腕の見せどころになる。

文:サカノワ編集グループ

 

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