柴崎岳が語ったW杯への想いとヘタフェ「スペインの強度とスピードが”日常”になった」
日本代表で練習する柴崎岳。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ロシア大会のピッチに立つため。そこから逆算してきたサッカー人生。
30日のガーナ代表戦(日産スタジアム)に向けて日本代表の全員が集結した5月25日、別メニューの岡崎慎司以外のメンバー26人がコンディションに応じたグループごとに分かれて夕方からの全体練習を行った。その練習後、スペインのヘタフェでシーズン通してプレーしたMF柴崎岳が改めて、ワールドカップに懸ける想いを語った。
ワールドカップでプレーする――。その夢を叶えるためにはどうすればいいか。
いや、その目標をまず達成して、さらに先へ進むため。そのように逆算して、サッカー人生を歩んできた。地元の名門である青森山田高校を選び、鹿島アントラーズで戦い、そしてスペインに渡った。
「2年間日本でやって、1年半スペインでやって。日本にいて成長できた部分もありましたが、ワールドカップでプレーするには、さらにレベルを上げなければいけないと、ヨーロッパを選び、スペインでプレーできて。そういった経験から得たものは多かった。ワールドカップに向けて、最大限に努力してきました」
テネリフェからヘタフェに移籍した今季、一時期はケガに苦しんだもののリーガ・エスパニョーラで22試合1ゴールを記録。チームは15勝10分13敗で20チーム中8位に食い込んだ。
そこで”獲得”したものとは。柴崎は次のように言った。
「いろんな部分でスピードに慣れてきたと思います。リーグ全体のプレー強度やスピードに慣れてきて、それが国際舞台のスタンダードになると思います。それを日常的に感じられている。それが特別なものではなく、感覚的になってきています」
進化や成長という言葉でくくろうとしない。スペイン1部リーグの強度とスピードが”当たり前”といえる日常的な感覚を身に付けた。柴崎はそのベースを築けたことを収穫に挙げた。
「日本でやっていたときのプレーでは、ワールドカップではどうかなという想いが正直ありました。最初は特別というか、違うレベルだと感じていましたけれど、1年半でそれが日常になりました」
おそらくロシア大会の大舞台に立ったとしても、何も戸惑わない。その準備をこの1年半でできたという確信がある。
静かに語っていた柴崎だが、その言葉の端々からは、胸の内でじわじわと燃やす熱い野心が感じられた。ワールドカップのピッチに立ちたい。その純然たる想いを叶えるため、まずキリンチャレンジカップのガーナ戦に全力を注ぐ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI