「株式上場解禁」「ホームグロウン」立花代表が語った浦和レッズのスタンス
2021シーズン、天皇杯を制した浦和レッズ。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
「いろんな動き」をチェックしながら――。
J1リーグ浦和レッズの立花洋一代表がこのほど、2021シーズンの決算を承認した31回定例株主総会後の記者会見に応じた。そのなかで、2022シーズンから認められた「Jリーグクラブの株式上場の解禁」、そして「ホームグロウン制度への対応」について質問に答えた。
コロナ禍のJリーグクラブの苦境打破も一因に、イングランドなどでも好況を呈するクラブの株式上場が今季から認められた。国内で最も多い観客に支えられてきた浦和だけに、経営規模を拡大するのであれば“魅力的”に映りそうな話ではある。その点について、立花代表は次のように考えを示した。
「世界的な流れを考えた時、もう少し自由度を高めていこうと進めている話だと思います。(Jリーグが)選手、監督が株を持った時にどうなるのかなど詳細を検討しているところです。そういったものが明確になるのが年内あるいは来年初めあたりになると聞いています。そういった方針を踏まえて考えていきたいとは一つ考えています」
一方、浦和の状況を踏まえ、次のようにも見解を示した。
「浦和レッズの場合、地元の企業をはじめ、たくさんの株主様になっていただいていることもあり、それを上場というところで大きく広げていくかどうかは、株主様との協議も踏まえてやらなければいけないと思っています。Jリーグには58クラブあり、当然いろんな動きが出てくると分かっています。そこに我々も注目し、ウォッチしていかなければいけないと思っています」
また、ホームグロウン制度では、2022シーズン、浦和のホームグロウン選手「5人」は鳥栖の4人に次いでJ1リーグでワースト2位だった。
ただしこの制度自体がまだ課題も多く、“世界に通用する選手を自クラブの育成組織から輩出する”という点では、ロシアW杯日本代表にも選ばれたウニオン・ベルリンの原口元気を浦和の育成組織からトップチームを経て送り出していて、東京オリンピック日本代表とフル代表にも選ばれるシント=トロイデンVVの橋岡大樹も同様の道を辿っていて、本来の「趣旨」で言えば一定の成果を収めているとも言える。
とはいえ、確かに近年はユース出身のGK鈴木彩艶とDF工藤孝太がいて、流通経済大学経由の伊藤敦樹や仙台大経由の松尾佑介もユース出身ではあるが、なかなか選手を意図的に自前で“育てる”ことができずにいる印象も受ける。
この点について、立花代表は次のように語っている。
「Jリーグの『Project DNA』のもと、アカデミーの組織と選手をどのように育てていくかという色々な取り組みについて、我々も積極的に協力しています。
(浦和ユース出身でトップチームを経て)海外に出て行っている選手もいますし、『今このタイミング(現状は4月1日時点の人数が対象)での人数がこうだから』というだけではなく、将来像を描いて、そこに向かっていくことも大事になります。そういった絵をアカデミーダイレクターを中心に、浦和レッズのこれからの育成のやり方をはっきり見据えて進めています。それを進めることで、ホームグロウンの選手が増えると思いますし、クラブの強化につながっていくと感じています」
今後は野々村芳和新チェアマン就任に伴い、(ルールなど)ディテールについて微修正が加えられていくだろう。そのなかで、いずれのテーマについても、 “浦和”の強みも生かしていきたい。