【野々村チェアマン一問一答】声出し応援の浦和に罰金最大2000万円、次回違反で「無観客+勝点はく奪」を諮問へ
写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
臨時実行委員会、J1各クラブから厳しい意見。チェアマンは立花代表に「57クラブと足並を揃えていくつもりはあるのか」と問いただす。
Jリーグは7月5日、臨時の実行委員会を開き、「声出し応援」の段階的導入を実施するなか、ルール違反のあった浦和レッズに対し罰則を科すと発表。野々村芳和チェアマンが委員会後にメディアブリーフィングを開き、浦和に対する「上限2000万円」の罰金処分を裁定委員会に諮問し、次回ルール違反があった場合には「無観客試合+勝点はく奪」の懲罰もあり得ると警告した。
野々村チェアマンの記者会見の要旨をまとめる。
今回の臨時実行委員会はJ1、J2、J3、それぞれ分かれて実施された(一部不参加)。声出し応援をどのように進めていくかについて、現在の政府の対処方針のなか、Jリーグで継続して足並みを揃えて努力していこうと再確認した。
一方、J1の実行委員会では、浦和のルール違反について議論に。野々村チェアマンから「57クラブとともに足並みを揃えていくつもりはあるのか」と問われた浦和の立花洋一代表はこれまでの件を謝罪し、もちろんともに進んでいきたいと回答。すると複数の実行委員から批判とともに、「具体的な防止策がなければ不安だ」「ルール違反した人たちに、しっかりしたスタンスを見せるべきだ」という声が上がったという。
問題視されたのが自浄努力が見受けられないこと。野々村チェアマンは5月21日の埼玉スタジアムでの鹿島アントラーズ戦での『ルール違反』について、「まず大々的に取り上げられたが、そのあとステイトメントを出す、再発防止策を取るなど現場間でやりとりはしていたが、今まで一回も出てきませんでした」と指摘した。
そして7月2日のガンバ大阪戦での「声出し応援」の発生を受けて、5日、浦和が公式サイトで、この問題に対するスタンスと再発防止策を出した。
この発表を受けて、野々村チェアマンは次のような方針を示した。
「(浦和が)同じ方向で行くと宣言し、クラブとしてのスタンスを見せたのであれば、我々も浦和に対し、一つのアクションを取れるようになったと思います。クラブには自浄努力の能力を持ってもらいたいということが一番にあります。問題があった時、どのように解決していくのか、防いでいくのかという意思表示が全くないなか、今日ようやく出ました。
(浦和の)今回の事案に対し、51条(Jリーグ規約[Jクラブの責任]〕 の運営責任を問うところがあり、『上限2000万円』罰金を科すこと、加えてその防止策を見て、自分たちで管理できるかどうか測ることができると思うので、この先同じようなことが起きた場合には『無観客試合や勝点はく奪』を含めた内容で、今すぐ決まることではなく第三者の裁定委員会に諮問したうえで、ペナルティを科しますと伝えさせていただきました」
「(それぞれ厳しい状況が続くなか)みんなでもう一回頑張っていこうという空気は一つ醸成できたと思っています。Jリーグとして、同じ方向へ、同じ仲間として進んでいこうという空気を、いろんな実行委員会から浦和さんに対して、投げかけてくれていました」
また、現在、野々村チェアマンが声出し応援の緩和について、政府などとの折衝は「責任を持ってやっていきたい」と、旗頭を努めていくことを「約束します」と語った。
「まず声出しエリア50パーセント、そのほか100パーセントにできれば、クラブの経営も楽になっていく数字で、そこを獲得したいと考えています。一方、(日本と欧米の差に違和感を感じている人について)Jリーグでは基本的対処方針のなかで少しでも緩和される方法を探し、一方、基本的対処方針を大幅に変えていただけるような働きかけは、僕が責任を持ってやっていきます。もちろん一人でできることではありませんが、いくつかのエビデンスを揃え、サッカー界やスポーツ界、まったく違う業界の人たちを含め、どうすれば前へ進んでいけるかは、また別の方向でやらなければいけないと思っています」
ここから一問一答に。野々村チェアマンが答えた。
――浦和からはこれまでに「声出し応援」の実証検証への参加の意思表明はあったのか?
「意思はあったと思います。どのクラブが実証検証に参加できるかは、いくつかのハードルがあり、特に自治体の了解を得られるかも重要です。それを含め、今こうだからノーではなく、いろんな面で確認しています。現在は保留というような状況のようです」
――罰則の件だが、そういう方向で検討する、という段階なのか。ただ規律・裁定委員会も関わってくる問題。次回ルール違反があれば「無観客」になると決まった話なのか? 詳しく教えてほしい(次ページ 2/3)