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【カタールW杯】半自動オフサイド技術を採用。FIFAコリーナ審判委員長「『ロボット・オフサイド』ではありません」

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長(中央)。(Photo by Harold Cunningham - FIFA/FIFA via Getty Images)

1秒間に500回、ボールデータをオペレーションルームに送信し、キックポイントを正確に検出。

 国際サッカー連盟(FIFA)はこのほど、11月21日に開幕を迎えるカタール・ワールドカップ(W杯)で、半自動オフサイド技術を導入すると発表した。これはビデオマッチオフィシャルと審判が最高峰の舞台でより速く、より正確で再現性の高いオフサイド判定を行うためのサポートを提供するツールとなる。2018年のロシアW杯でVAR技術の活用が成功したことを受けて、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が「The Vision 2020-23」で、VARをさらに強化すると宣言していた。

 この新技術は、スタジアムの屋根の下に設置された12台の専用トラッキングカメラを使ってボールや個々の選手を最大29か所のデータポイントで捉え、1秒間に50回、ピッチ上の正確な位置を計算する。

 29のデータポイントにはオフサイドの判定に必要な選手の四肢の位置も含まれる。カタールW杯に採用されるアディダス公式試合球である「アル・リフラ」は、ボール内部に慣性計測ユニット(IMU)センサーを搭載し、微妙なオフサイド判定に必要な情報を提供する。

 ボールの中央に設置されたこのセンサーは、1秒間に500回、ボールデータを映像オペレーションルームに送信し、キックポイントを正確に検出することができる。

 手足とボールの追跡データを組み合わせ、人工知能を適応することで味方がボールを出した瞬間、オフサイドポジションにいた選手がボールを受けると、ビデオオペレーションルーム内のビデオマッチオフィシャルに自動でオフサイドの警告を出される。

 ビデオマッチオフィシャルは審判に伝える前、自動的に検出されたキックポイントと選手の手足の位置を計算して自動的に作成されたオフサイドラインを手動で確認し、提案された判定を検証する。

 このプロセスは数秒間で行われ、オフサイドの判定をより速く、より正確に行うことができるようになる。

 FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は次のようにコメントしている。

「2018年のFIFAワールドカップで、FIFAは世界最大の舞台でVAR技術を使用するという勇敢な一歩を踏み出し、それは議論の余地のない成功を収めました。半自動オフサイド技術は、世界中で導入されてきたVARシステムを進化させたものです。

 この技術は、今年末にカタールに集うチーム、選手、ファンに最高のものを提供するための3年間の献身的な研究とテストの集大成であり、FIFAはこの仕事を誇りに思っています。FIFAはあらゆるレベルでサッカーの試合を向上させるために技術を活用することを約束し、2022年のFIFAワールドカップで半自動オフサイド技術を使用することは、その最も明確な成果となります」

 また、FIFAのピエルルイジ・コリーナ審判委員会委員長は次のように期待を寄せている。

「VARはすでにサッカーに非常に良い影響を与えており、大きなミスが激減していることが確認できます。この半自動オフサイド技術によって、さらに一歩前進できることを期待しています。

 特にオフサイドの発生が非常に微妙な場合、オフサイドを判断するプロセスに時間がかかりすぎることがあります。そこで、半自動オフサイド技術を使ってより速く、より正確な判断を提供することができるようになります。

 これまでの試験運用は大成功でした。カタールでは、審判とアシスタントレフェリーがフィールドで最善かつ最も正しい判断を下すための非常に価値のあるサポートツールを手に入れることができると、我々は確信しています。誰かが『ロボット・オフサイド』と呼んだことは知っていますが、そうではありません。審判と副審が、フィールドでの判断に依然として責任を持ちます」

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