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【横浜FC】89分間の出場より、カズが強調した「一番大事なこと」

カズがほぼフル出場したことよりも、大事だと強調したのは……。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

51歳の公式戦最年長記録を更新したが、大宮戦での大敗に肩を落とす…。

 横浜FCのカズこと三浦知良は6月10日のJ2・18節の大宮アルディージャ戦でベンチ入りしたものの出場機会を得られず、チームも0-4で敗れた。4日前の天皇杯2回戦のカマタマーレ讃岐戦では2トップの一角で89分まで先発出場し、2-0の勝利に貢献した。それだけに、この一戦でチャンスを掴みたかったと、カズは唇を噛み締めた。

「ここで少しでも試合に出られれば、また変わってくるんだけれど。もっと体調も良くなっていく。こういう結果に終わると、どうしても、また試合間隔が空いてしまうし、選手は試合に出続ければコンディションが上がっていくし、メリハリもつけられる。だから出続けたい。選手はみんなそういう気持ち。試合もこういう結果ですし、個人的にも出番がなくて残念でした」

 この直前の試合、自身の持つ公式戦の日本人最年長出場記録を「51歳100日」に更新した、天皇杯での89分間の出場――。4試合連続スタメン出場を果たした昨季8節の町田ゼルビア戦(●0-1)以来という公式戦の先発を果たし、ほぼ1試合フルにピッチに立ち続けた。そこで得たものも大きかったのでは? 

 その問いに、51歳のカズはこう答えた。

「一番大事なのは試合に勝ったこと。2-0でチームが勝利をちゃんと収められたことが一番大事。そのなかで自分が長い時間試合に出て……かなり長い期間、先発がなかったからね。キャンプでは長い時間プレーしたことはありましたが、あくまでも練習試合であり、一部のトレーニング。今回のように公式戦で、自分がそこまでやれて、一つ、前向きになれるかなということではありますが、内容的にはもっともっと良くしていきたいですね」

 カズは続けて、ポジション奪取への熱い想いを吐露した。

「良くしていくにはどうするかと言ったら、試合に出るしかない。それは勝ち獲って出たいですね、やっぱり。これでまた練習だけになってしまうと、誰にも言えることだけど、体調維持が難しくなりますからね」

 チームの勝利のため――。その前提に立って戦うカズにとって、やはり0-4のスコアはダメージも大きかった。カズは「非常に残念です」と肩を落として会場のNACK5スタジアムをあとにした。そして、その瞬間、次の試合に向けて、カズの闘いはもうスタートしていた。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI