【松本】田中隼磨が涙の引退セレモニー「天国の松田直樹、あなたの3番を背負い、魂を引き継ぎここまで戦ってきました」
松本の田中隼磨。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
プロキャリア23年、二度のJ1昇格など「背番号3」の伝説を地元・松本で作る。
[J3 30節] 松本 1-0 相模原/2022年11月20日14:00/サンプロ アルウィン
J3リーグ松本山雅FCの元日本代表DF田中隼磨が11月20日のSC相模原戦のあと引退セレモニーを行い、ホームのアルウィンに訪れたサポーターに直接「現役引退」を報告し、プロキャリア23年にピリオドを打った。
松本市出身である田中は2014年、J1リーグ優勝を果たすなど名古屋グランパスの主力でありながら、松本への移籍を決断。その後、右サイドバックやウイングバックの主力、そしてチームの顔として、二度のJ1昇格に大きく貢献した。
しかしこの2シーズン、ケガに苦しんできた。それでもこの最終節は87分からピッチに立つと、90分、中山陸の決勝点が生まれ、1-0の勝利でラストマッチを飾った。
「40年前、この松本で生まれ育ちました。今ある雁金サッカー場の近くの病院で生まれ、15歳で親元を離れ、横浜フリューゲルスに行きました。その時、地元にプロの選手がいたら、Jリーグのクラブチームがあったらいいなと思いました。僕自身がその思いを達成させたい、そんな思いでフリューゲルスに行きました」
田中はそのように振り返り、その後、横浜F・マリノス、東京ヴェルディ、名古屋グランパス――それぞれのクラブで先輩やチームメイト、スタッフに恵まれて成長していけたと感謝。そして松本への移籍について、「2014年、子供の頃に思い描いていたこと、マツさん(松田直樹)が2011年にここに来ていたこと、その全てがつながりました」と語り、次のようにサポーターに感謝した。
「たくさんのスタジアムでプレーしてきましたが、アルウィンは特別でした。これほどパワーのあるスタジアムはありません。子供からお爺ちゃん、お祖母ちゃんまで、『隼磨がんばれ! 走れ!』と、皆さんの声援が後押ししてくれました。試合終盤での『One Soul』、このピッチでプレーした選手は、みんなが一つだと感じていました。山雅の流儀を皆さんが教えてくれました。だから皆さん、選手を甘やかさないでください」
「松本に来て、僕の目標は変わりました。皆さんを笑顔にしたい。ゴール裏の笑顔を見たい。次の1週間を笑顔で過ごせるように。そんな思いでここまで戦ってきました」
そして「3番」の伝説の始まりになった、松田直樹への思いを伝えた。
「天国の松田直樹、あなたの3番を背負い、あなたの魂を引き継ぎ、ここまで戦ってきました。最後は情けない形で、マツさんが望んでいた場所に連れて行けず、本当にごめんなさい。でも、ヒザがボロボロになるまで、あなたの3番とともに戦って来ることができました。少しだけ認めてください」
涙を浮かべてあいさつをした田中は最後、「23年間、キャリアを支えてくれた全ての人に感謝したいです。最後は笑ってアルウィンをあとにしたいと思います」と前を向いた。そのあと、たくさんの花束を受け取り、アルウィンのピッチを一周した。
闘志を前面に出したスタイルを貫き、所属したそれぞれのクラブで愛されてきた。田中隼磨が引退後、どのような道に進むのか。きっと再び「頂」を目指すに違いない新たな挑戦に期待したい。
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