【独メディアが報じた日本代表】「パス回し」むしろポーランドを批判する見解も
『ビルド』は「日本はフェアプレーに感謝、ベスト16へ」と題してレポートしていた。(写真は同紙電子版のスクリーンショット)
「あのパス回しはハラキリ状態だった」と伝える一方で…。
FIFAワールドカップ・ロシア大会のグループHの日本代表対ポーランド代表戦で、日本がフェアプレーポイントに懸けたラスト10分間のパス回しについて、ドイツでも議論を巻き起こしている。
ドイツのサッカー専門誌『キッカー』電子版は、『フェアプレーポイントで、日本が負けものの次ステージへ』と題して客観的に試合内容を伝えて、「日本がまさに鼻差で勝ち上がった」と表現。7月2日(日本時間3日)のラウンド16で日本代表がベルギー代表と対戦することを伝えている。
一方、ドイツ大衆紙『ビルド』電子版は、少し加熱気味だった。1982年スペイン大会でオーストリア代表とドイツ代表が”談合”により1-0で試合を終わらせ、すでに全日程を終えていたアルジェリアを敗退させた「ヒホンの侮辱」を例に挙げて、この試合と比較している(当時はグループリーグの最終節が同時開催でなかったために起きたもので、状況が異なるが)。
同紙は『W杯で最も臆面なき10分間』、「日本は”フェアプレー”に感謝、ベスト16へ」と題し、日本がポーランド戦のラスト10分間でパス回しをしていたことに、「セネガルが負けることに賭けた、あのパス回しはハラキリの状態だった」などとレポートしている。
ただ一方で、ARD(ドイツ公共放送連盟)解説員のトーマス・ヒッツペルガー氏の「ワールドカップでこのような場面を見るのは残念だった。同じく残念だったのが、ポーランドがその状況に対し、何も行動を起こそうとしなかったことだ」というコメントを紹介している。ポーランドがさらに攻めても、失うものはなかったはずだという視点だ。
また日本代表の長谷部誠の「とても複雑な気持ちではある。しかし、それもまたサッカー。僕たちはベスト16に進める。僕はそのことに満足している」というコメントも掲載されている。
海外でもこのように議論を呼び起こした日本対ポーランドのラスト10分間の戦いぶり。ドイツでは隣国ポーランドの姿勢に首を傾げる見解が出ているのも、またこのテーマの奥深さを物語っていると言えそうだ。
構成:サカノワ編集グループ