【ロシアW杯】なぜ柴崎!?194cmフェライニのマークから見えるスカウティングの差
ベルギー戦後、乾を迎える原口。写真:新井賢一/(C)Kenichi ARAI
日本代表の2失点目、194センチに二人掛かりでマークしていたが……。
[ロシアW杯 ラウンド16] 日本 2–3 ベルギー/2018年7月2日(日本時間3日午前3時)/ロストフ・ナ・ドヌ
ベルギー代表のロベルト・マルティネス監督は劇的な逆転勝利を収めた日本代表戦の後、「日本のことは良く分析していた」と語っている。2失点目を喫したときには少なからず動揺したはずだが、その後の”点を取りに行く”ための交代策と戦略は冷静で、言葉通り、かなり研究していたことが感じられるものだった。
74分、フェライニがヘッドで叩き込んだベルギーの2点目は、CKの流れから決められたものだった。
ベルギーは、日本のセットプレー時の対応を把握していた。189センチと日本で最も大きな吉田麻也がストーン役(マークにはつかず、一番相手に邪魔になるところに入る)になる。だから190センチのルカクには昌子あたりがマークにつくなど人数的に見て……さらに大きなフェライニを投入すれば”詰める”のではないかと、勝負手として用意していた――。
案の定、日本は対策を立てていなかった。194センチのフェライニのマークについていたのは、何とピッチ上にいたチーム内で最も小さい175センチの柴崎岳とその次の177センチの原口元気だった。二人掛かりではあるが……明らかにミスマッチだ。
しかもCKが一旦吉田のヘッドでクリアされると、原口と柴崎はフェライニから離れてしまう。するとセカンドボールを拾われ、再びクロスを放たれる。マークの受け渡しはスムーズに行かず、長谷部が対応しようとしたものの間に合わず、背番号8に高い打点から叩き込まれたのだ。
なぜ、柴崎と原口だったのか。そして簡単にマークを外してしまったのか。そもそもフェライニに誰がつくべきだったのか――マーカーの引き継ぎが徹底されていなかった。
もちろん、今回のメンバー編成から考えると、誰がマークしても、あの高さを封じることはできなかったかもしれない。とはいえ、それで「仕方ない」で済ませては進歩できない。
日本がリードした場合、相手がパワープレーであり、高さを前面に押し出してくることは想定できたはず。フェライニに、小さな柴崎がつくことになった経緯は? そんなミスマッチで失点してしまったのは、実にもったいなかった。
2-0としたあと、そういった細部に綻びが見えた。コロンビア、セネガルなど、ある程度、分析に時間をかけられたときのスカウティングは、十分、チームに落とし込まれていた印象を受けた。だが今回は残念ながら、「緻密さ」でベルギーに上を行かれてしまった。
そこで日本が後手を踏んでは、やはり勝てない。その一つひとつのミスマッチをケーススタディにして、どうすれば失点を防げたのかしっかり対策を講じて、生かしたい。
文:サカノワ編集グループ