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【湘南】平塚市長が新スタジアム計画に難色「かなり無理な提案を一方的に突き付けられた」。クラブの“事前協議”の仕方にも問題

レモンガススタジアム平塚で声援を送る湘南サポーター。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

興行の相乗効果に理解を得られず。「平塚市が取り組んできた支援に、正当な評価をいただいていない」

 平塚市(落合克宏市長)は5月30日、公式サイトで5月定例市長記者会見のやりとりを公開した。そのなかで落合市長が4月の選挙に当選し4期目に突入したのを受けて、湘南ベルマーレの眞壁潔会長らが17日に同市へ対し新スタジアム建設計画についての説明を実施(市長は同席しなかったとのこと)。二つ提示された計画案について、落合市長はいずれも難色を示した。またクラブの“事前協議”のやり方にも疑問を呈した。レモンガススタジアム平塚の老朽化は著しく、AFC(アジアサッカー連盟)基準であり、日本サッカー協会(JFA)も推奨するサッカー専用スタジアムを欲する湘南だが、今後は平塚市以外のホームタウンを含め、スタジアム建設地の選定を検討していくことになりそうだ。

 公開された内容によると、湘南からは2つの計画案が提示された。しかし、落合市長は「驚かされた」として、いずれも現実的ではないと考えを示している。

 一つが現在のスタジアムがある平塚市総合公園の駐車場や広場に作る案だが「市民意識調査などでも、連続して一番人気の場所。あの場所をつぶすことはできません」「この案は受け入れられません」と否定。もう一つの案は「建設費の半分(約70億円)の負担を求めている」として、総合公園外に設ける案だが、「詳細が不透明な点が多く、このことについても困惑しています」と懐疑的だ。

「いずれの案も民有地を使うことが前提となっていますが、民有地の地権者の意向や利用形態、土地を買うのか借りるのか。その費用がどれくらいで誰が主体となるのか。スタジアム以外の周辺整備の費用や、建設後の維持管理費の設定などもありませんでした」

 そのように市長はいずれの案にも難色を示し、従来通り「ベルマーレやそのことを応援する商工会議所などが中心となって整備されるのが常識的な筋道」と主張している。

 また今回、「事前協議」のはずだったが、湘南側がメディアを通じて、この2つの案を先に発表していた。交渉は相手あってのもの。本来であればまず内部で話し合っていく事項であるべきだと、その過程にも疑問を投げかけた。

 市側は、スタジアム使用料の減免をしているのは神奈川県内のJリーグクラブでは平塚市だけと説明。そしてこの7年間で市の財政から14億円が投じられ、照明灯、Jリーグ基準でのトイレの洋式化、審判更衣室内のトイレ・シャワー室の新設、観客席増設など「できる範囲では、やってきております」という。現在、新スタジアム構想が浮上し、補修などは行うものの、屋根設置、新たな席の増設などはストップしているそうだ。

 落合市長は「言い方は悪いですが、今まで平塚市が取り組んできた支援の内容について、正当な評価をいただいていないという意味です。Jリーグがあるいろいろな市町村を見てきていますが、私が聞いている範囲ではここまでJリーグのチームに対して支援をしているところはないと思います」と主張している。

 スタジアムには貴重な市の財源が投じられてきたのだと言及。ただJリーグ発足から30年、シーズン中は基本的に2週間に一度、約1万人がスタジアムに訪れる、その経済面などの相乗効果についての理解があまり得られていないことも浮き彫りになっている(近年の地上波放送など露出が限られることによる、市民との接点の少なさも影響しているだろう)。

 また、興行として観客に快適に観てもらうため、選手が世界で示された基準でプレーするためにスタジアムの規定も設けられている。“ベルマーレがサッカーを通じて世界とリンクしている”のだが、そのあたりの認識も得られていない印象だ。

 事実上J1基準を満たしていないなど、レモンガススタジアムは多くの課題を抱えてきた。スタジアム建設は民間主導であるべきだという平塚市長の基本方針は変わらないと見られる。今後は平塚市を第一希望に、一方、ホームタウンである9市11町の中での建設も視野に、「専用スタジアム」の可能性を検討することになる。

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