柏木陽介が語ったロシアW杯の傾向から浮かぶ浦和の改善点とは?
浦和レッズの柏木陽介。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
セットプレーから6割のゴールが生まれた。柏木の「左足」があるのは大きいが――。
[J1 16節] 浦和 3-1 名古屋/2018年7月18日/埼玉スタジアム
FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会の中断明けリーグ初戦となった16節・名古屋グランパス戦、浦和レッズのMF柏木陽介は、W杯での傾向などを例に挙げながら、実戦を行ったなかで浮かび上がったチームの強みと課題について語った。
まず、失点シーンについて。前半のラストプレーとなった45+1分、中央でボールを持ち運んだガブリエル・シャビエルにゴール中央のバイタルエリアからシュートを決められた。ボールがブロックに行ったマウリシオの体に当たったものの、軌道が変わりゴールネットを揺らされた。
ボランチの二人が中盤のスペースを埋めるために走り続け、柏木が両チーム最長の10.946キロ、青木もチーム2位の10.423キロを90分間に走った。柏木は「常に周りに7、8人がいるような状況だった」と言い、横に揺さぶりをかけられて”走らされる”状況でもあった。それだけに、その失点時のような危険は最終ラインに察知してほしかったと指摘する。
「(失点シーンは)相手が(ガブリエル・シャビエルら)2人ぐらいしか攻めに来ておらず、こっちはゴール前に5人ぐらいいた。前に出ていくのが難しいというのは分かる。でもW杯を見ていても、あそこで誰か一人がボールに行けている。そこはチームとしてやっていかないと、もったいない。俺らは釣られてかなり横に動かされていたから、そういうときこそ、後ろから出てきてほしい。そこは話し合う。後ろの意見もあるだろうから、突き詰めていきたい。動かされている俺らからすると、そこは出てきてくれと思う」
相手選手に対し、いつインテンシティのある守備を見せるのか。「夏だから守る時間も増える。行けるときは行けるという守備のメリハリをつけていきたい」と、柏木はボールの奪いどころについてチーム内で突き詰めていく考えを示した。
一方、柏木はコーナーキック(CK)から3アシストを記録した。しかも先日の天皇杯でもCKからマウリシオの2ゴールを演出している。
「セットプレーから決められるのは大きい。けれど、俺的にはポジティブすぎる考えにはならない。セットプレーだけでは物足りない。それだけではサッカーでないから。W杯でセットプレーから全体のゴールの6割近くが入っていた。だからセットプレーが大事なのは確かで効率的。それを持っているのだから、続けて取れるようにしていく。でもやはり流れの中から、どうにかして、崩しの形、回しの形も見つけてやっていかないといけない」
柏木は続ける。
「(合宿からトライアングルをあらゆる局面で作る取り組みをしていたが?)そういう形がまだ少ない。ロングボールを蹴ったときにしか、サポートに行けていないし、上手くボールをつなぎながら崩すのが少ない。そこをできるようにしていかないと」
いずれもCKから最下位の名古屋から3ゴールを奪っての勝利。しかし浦和の主将はまったく浮かれることなく、むしろ良い攻撃を生むための”良い守備”ができていない現状を危惧し、改善点に挙げていた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI