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知念慶『幻の1ミリ弾』、ポストが死角でVARも正確に確認できず。誤審か!?新たな課題に。J1リーグ湘南2-2鹿島

鹿島の知念慶。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

カメラが捉えている白い線は「ゴールライン」ではなく「ゴールポスト」。

[J1 26節] 湘南 2–2 鹿島/2023年9月2日19:00/レモンガススタジアム平塚

 J1リーグ26節、鹿島アントラーズは佐野海舟の一撃とアルトゥール・カイキのPK弾で、湘南ベルマーレと2-2で引き分けた。出場停止だった鈴木優磨ら主力選手を欠くなかで貴重な勝点1を獲得した。

 この試合、知念慶が放ったシュートがクロスバーを叩き地面を打った際、ゴールラインを越えて「ゴール」が決まったように見えたが、ノーゴール判定となった。このシーンが鹿島のみならずサッカーファン、サポーターの間で話題となっている。

 鹿島が1-2とリードされて迎えた67分、ペナルティエリア内でディエゴ・ピトゥカのクサビのパスを受けた知念が、ポストプレーから振り向きざま、DFをかわし右足を振り抜く。渾身の強烈ショットはクロスバーと地面を叩いた。そして映像で確認するとラインを越えたように見えた。しかし主審は完全にラインを越えていないとして、ノーゴールと判定した。

 VARルームでも、このシーンはチェックされている。ただボールがラインを越えたという事実を確認できないため、主審の判断に介入しなかった(VARの運用規定により「できなかった」)。

 この試合を中継したDAZNでは、ゴールラインカメラの映像も流れた。確かにラインを完全に越えていない、ように見える。

 しかし、よく確認すると、ゴールポストが死角になって、ゴールラインが見えていないことが分かる。カメラの映像はゴールポストとラインが完全に平行にはなっておらず、ポストの後ろにラインが隠れてしまっているのだ。私たち視聴者が「ライン」と思って見ている白い線は、実は「ゴールライン」ではなく「ゴールポスト」である。

 この映像はVARルームでも使われている。そのため「完全にラインを越えている」という『事実=ファクト』は得られなかったということになる。

 しかもポストはより重要なゴール内、ラインの内側に向けて微妙に死角を作っている。知念慶は「少し納得のいかないところはありますが、決め切られなかった自分が悪かったです」と語ったが、当事者たちは“入った”という感触を得ていたことが分かる。

 この問題を改善するには、ゴールラインテクノロジーを導入するしかない。しかし、採用するとなれば、Jリーグと日本サッカー協会により、多額の費用が必要とされる。J2リーグなどでのVAR導入(VARライトなど)も検討されるなど、どのテクノロジーの導入を優先すべきなのかは議論となっていて、実現にはまだ時間がかかりそうだ(あるいは野々村芳和チェアマンの決断次第)。

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 このゴールラインを越えたかどうかについては、アマチュアレベルを含め、サッカーでは常に起こってきた問題で、課題でもある。とはいえこの日も1万以上がスタジアムに集まるなか、最も息を飲むサッカーの最大の醍醐味である「ゴールか!」という瞬間が、このような形で「よく分からない」となってしまうのは誰も望んでいない現象だ。

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