【松本】大逆転劇に浮かれず飯田真輝は気を引き締める「見つめ直さないと」
松本山雅の飯田真輝(写真は昨年のリーグ戦より)写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
京都戦でのレンゾ・ロペス対策が生きる。
[J2 26節] 松本 – 甲府/2018年7月29日/松本(アルウィン)
7月25日の大宮アルディージャ戦、数的不利から2-1の大逆転勝利を挙げた松本山雅FCのDF飯田真輝は試合後、冷静にその夜の”ドラマ”を振り返った。
「割り切って対応しました。数的不利で先制され、後ろ(DF陣)としては、そのまま0-1の時間をできるだけ長くしようという意見だった。ソリさん(反町監督)が点を取るためのカードを切っていくはずだから、後半30分ぐらいまで耐えて、そこから攻めようという狙いでした」
早々の35分に中美慶哉がラフプレーで退場処分を食らう。そして前半終了間際、大山啓輔に鮮やかに先制点を決められた。
叩きのめされた……はずだったが、松本は誰もが諦めず、ここから這い上がる。56分、CKの流れからPKを獲得して永井龍が決め同点。そして64分、閃光のカウンターから永井が渾身の逆転弾を突き刺して逆転に成功した。
ある意味想定外だった60分台での逆転により、飯田をはじめ松本の守備陣も「プランB」を発動させる。
「早い時間に2点を取れたことで、さらに割り切って、守備を固めていけるようになった。相手はシモヴィッチ選手を早い時間帯に入れてきていたので、クロスを簡単に上げさせないところ、浦田と俺が引きずり出され、橋内とシモヴィッチ選手を1対1にさせないことを頭に入れてやっていました」
そこで生きたのが前節の京都サンガ戦(〇1-0)での経験だった。
「前節の京都戦での(大型FW)レンゾ・ロペス選手に危険なシュートを打たせなかったのが生きました。シモヴィッチ選手に落とされてシュートというのが怖く、一発で決められることはないだろうと思っていました。前回があったからこそ守り切れたと思いました」
この勝利で、松本は勝点47に伸ばして首位をキープ。1失点は喫したものの失点数23はリーグ2位。意思統一を図れたハードワークと堅守はこの日も光った。
「勝てば勝つほど、次が大事。今日は本当に勝点1でも良しとしないといけないゲームで勝点3を取れたのは大きい」
飯田はそのように勝点3奪取を喜んだ。その一方で、次のように課題も挙げていた。
「ただ、大宮に対し、自分たちがやりたいサッカーを11人対11人の場面でできていたかと言うと、グレーなゾーン。流れの中で自分たちのサッカーができず、ラッキーな面はあった。そこはもう一度、見つめ直しながら次の試合を迎えたいです」
ある意味、心理戦で上回っての勝利と言えた。それはそれで大きな自信になる。
一方、サッカーのクオリティには満足してはいない。松本のDFリーダーは大逆転劇に浮かれることなく、J1昇格という大きな目標に向けて、改めて気を引き締めていた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI