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【浦和】2024年天皇杯、参加資格剥奪の厳罰。JFA「日本サッカー史上、過去に類を見ない極めて危険かつ醜悪なもの」と断罪

浦和の応援風景。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

「これまで対象者に科した懲罰より重い懲罰を科すことが相当と判断」、サポーターへ付言も。

 日本サッカー協会(JFA)の規律委員会は9月19日、 8月2日に開催された天皇杯の名古屋グランパス戦で約70人のサポーターが暴徒化した問題を受けて、浦和レッズに対し「2024年度天皇杯(天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会)の参加資格の剥奪」「譴責(始末書の提出)」の厳罰を科すと発表した。

 発表によると、現時点で判明しているだけで70人以上に及ぶ多数のサポーターがスタジアム内で集団として暴徒化したことが明らかになっている。彼らは相手チームのサポーターを威嚇し、サポーターや警備運営関係者に対して暴行を加えた。こうした行為について、規律委員会は「日本サッカー史上、過去に類を見ない極めて危険かつ醜悪なものであり、その場に居合わせた子供を含む多くの観客、チーム関係者、スタジアムや運営に携わる関係者等を危険にさらし、恐怖に陥れるものであった」と断罪している。加えて「その様子はテレビやインターネットを通して、広く伝えられ、サッカー関係者以外の多くの人々にも強い衝撃を与えた」と落胆もしている。

 今回、名古屋サポーター2人から発せられた何らかの言葉(「早く帰れ、こっちに来い」といった内容だったとの話もあるが特定できていない)に対し、浦和のサポーターの一部が憤慨し、バックスタンド側に移動を開始し、その後、他のサポーターが続いたという。しかし規律委員会は「サポーターらの行動は、その反応として著しく過剰かつ執拗なものであり、情状として汲むべき事情には当たらないと考えられる」としている。

 JFAとJリーグは「人々がスタジアムにおいて安全、安心に観戦することができなくなれば、人々の足をスタジアムから遠のかせることになり、ひいてはサッカー競技自体への興味を失わせることにもなりかねない」と指摘。「本件の対象者のサポーターによる暴挙は、このような当協会やJリーグの理念に真っ向から反するものであり、断じて許されない」と厳しい姿勢を示す。

 また浦和のサポーターが引き起こした問題行動による懲罰事案は、2000年以降だけで11件に上ると指摘。むしろエスカレートしていることに気付けずにいる状況を危惧する。

 そのうえで「このような実態を直視すると、対象者による取組みは十分ではなかったといわざるを得ず、対象者にさらなる猛省と実効性のある再発防止策の策定及び実施を促すには、これまでと同様に罰金の処分を重ねたとしても、十分な効果は得られないと考えられる」と首を捻る。

 2022年7月の「罰金2000万円」の懲罰を科した際、JFAは「対象者が再びサポーターの行為に起因する懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性がある」と強く警告していた。そのため天皇杯では今大会すでに敗退していることを受けて、「2024年度天皇杯の参加資格の剥奪」という「これまでに対象者に科した懲罰よりも重い懲罰を科すことが相当であると判断した」ということだ。

 また、規律委員会は、次のように浦和のサポーターに対して付言している。

「以上の懲罰は、対象者(クラブ)に対するものであるが、本件管理規定違反行為の実行者である本件サポーターらには、自らの行為がクラブに招いた結果の重大性をしっかりと受け止めてほしい。サポーターはクラブとその選手たちを心から応援し、愛する存在であるはずである。観戦ルールに違反する行為は、結果的に、自分が愛するクラブ、ひいては、そのクラブを愛する多くの仲間たちを傷つけることになってしまう。そのことを自覚し、ルールを守って観戦していただくことを当委員会としても切に願うものである」

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 天皇杯優勝チームにはAFCアジア・チャンピオンズリーグの出場権が与えられてきた。浦和は早くもその一つのチャンスを、一部サポーターの行為により失うことになった。

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