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【浦和】「黒シャツ」はサポーターか?手ぐすね引いて待っている輩がいる。指摘に田口社長「多様性を認めたい」

記者会見に応じた浦和の田口誠社長。(C)SAKANOWA

SDとTDを呼び出し、相手スタンド乱入、横断幕など破損…クラブは重大さを認識していない。

 浦和レッズは8月5日、天皇杯4回戦・名古屋グランパス戦後に浦和のサポーター約100人がピッチに侵入したあと相手サポーター席に乱入し揉み合った問題で記者会見を行った。

 繰り返されてきた浦和サポーターの違反行為だが、相手ゴール裏まで押し入っる前代未聞の事態に至った。ところが、クラブによると「暴力行為はなかった」「横断幕などの破損はあったが、両サポーターで和解されている」として、処分対象の行為は「ピッチ侵入」のみ。ガイドラインに基づいて31人が9試合入場禁止、45人が厳重注意という処分に終わった。しかも、グループのリーダー(16試合の入場禁止)を介して、「間接的」に人数も割り出したという。

 会見では「彼らはそもそも『サポーター』なのか」という指摘があった。むしろ集団行動に乗じて、こうしたエネルギーを発散する機会を手ぐすね引いて待っている輩がいる。まさにその時が来ただけだったのでは。結局、個人が特定されない、この程度の処分であれば、きっと繰り返されるだろうという声が出た。

 また、事態の全体が把握しきれないうちに、「ピッチに侵入した」というところのみを罰したことで曖昧な処分となってしまった。相手サポーターのいるスタンドまで乱入して揉み合いになっているが、逮捕や検挙など警察沙汰にならなかったということで、そこは処分対象にはならなかったというのだ。

 しかも今回はガイドラインに基づいて処分し、今後、ルールをより明確化するという。問題を後回しにし続けてきただけだ。

 また、サポーターと称するものの誰とも分からない一部の人間に呼び出され、土田尚史スポーツダイレクターや西野努テクニカルダイレクターが話し合うという事態も異常ではないか。さらにピッチに入る行為は、観戦者――特にサポーターには“絶対に許されない行為”となっている。「黒いシャツ」を着て主張しているが、彼らは浦和レッズを支える『サポーター』ではないのではないか。そうした指摘が、元サポーターグループのリーダーでもあった記者から出た。

 これに対し田口誠社長は次のように語った。

「いろいろな観戦の仕方があると認識せざるを得ないと認識しています。それは多様性とも見ています。今回の違反行為を起こした方たちは熱狂的であり、応援に関しては、それぞれに任せるのが基本だと考えています。もちろん守らなければいけない規則はあり、相手がいることも尊重しなければいけません。一部の方たち(今回の『サポーター』と称する人たち)の意見を尊重してしまっているきらいはあり、もっといろいろな方たちの声に耳を傾けなければいけないとも感じています」

 問題を起こした個人を罰するが、グループのリーダーを介して情報を得ており、クラブとしてはまだ全体を把握しきれていない。ただし、そのグループへの罰則は考えていない。結局、その“軽い処分”の背景に、そのリーダーという人物に配慮しなければグループ全体の情報を得られないという忖度も感じられた。

 複数の問題行動があり、さらに、相手ゴール裏のスタンドまで押し入り恫喝している。しかし、処罰は「『ピッチ侵入』のみ」。

関連記事>>【浦和】なぜ”軽い”処分に!?  サポーター暴徒化処分、「ピッチ侵入」のみ対象。「暴力行為ない」「横断幕や着用物の破損は和解」クラブが経過説明

 冒頭の田口社長の「先人が紡いできた日本サッカーの歴史に泥を塗る愚行。絶対に感じさせてはいけない不安や恐怖を与えてしまった痛恨の極み」というコメントは、この問題の重さが感じられるものだった。ところが、浦和のクラブ(あるいは取材に応じた責任者)の認識はその程度であるのかと驚かされた。

 どのように問題を起こしたグループに配慮し、むしろチャンスを与えるのか。サポーターなのかも分からない「身内」を守ることに重点が置かれていた、といわざるを得なかった。

Posted by 塚越始

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