ダブル・シルバが輝きを放っていたのはつい2年前…新潟の負の連鎖が止まらない│鈴木監督解任
アルビレックス新潟の加藤大。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
3年連続、シーズン途中で監督交代に。1年でのJ1復帰へ巻き返せるか。
アルビレックス新潟は8月8日、鈴木政一監督との契約を8月7日付けで解除したと発表した。8日から暫定的に片渕浩一郎ヘッドコーチが指揮を執る。片渕氏の途中就任も3年連続。後任については未定。
鈴木氏は1955年1月1日生まれの63歳。ジュビロ磐田で黄金期を支え、その後、日体大、ユース日本代表などを指揮。2004年以来14年ぶりのJ復帰となった。
しかし、ブランクはやはり大きかった。1年でのJ1復帰を至ノルマに掲げるなか、J2で8勝5分14敗の勝点29で19位。直近のアウェーでの大分トリニータ戦は0-4の大敗、3連敗を喫した。
鈴木前監督は次のようにコメントしている。
「アルビレックス新潟を支えてくださるサポーターの皆様、スポンサー、株主の皆様をはじめ、ご関係者様から大きなご支援をいただきながら、結果でこたえることができず、本当に悔しく、また申し訳なく思います。 J1への復帰のために、共に闘ってくれた選手・スタッフ、またフロントスタッフやボランティアの皆様には、心から感謝しています。もちろん、チームの勝利を願って、どこへでも応援に駆けつけていただいたサポーターの熱いご声援にも、深く御礼申し上げます。 アルビレックス新潟がこれから飛躍されることを、心から祈っています。どうか、今後もクラブへのご支援やご声援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます」
新潟の負の連鎖が止まらない。
柳下正明(現・ツエーゲン金沢)監督時代の2015年に年間15位で辛うじてJ1残留に成功。翌16年にポゼッションスタイルへの転換を掲げて吉田達磨監督を招聘したが、成績低迷により9月に解任(片渕コーチが昇格)された。その年もギリギリの15位で残留を果たした。
ただ、いずれのシーズンも、レオ・シルバ(現・鹿島アントラーズ)、ラファエル・シルバ(浦和→現・武漢)という”ダブル・シルバ”がチームをけん引。加藤大、小泉慶(現・柏レイソル)らが成長を遂げて、底上げはできているという手応えはあったのだが……。
17年は元OBの三浦文丈監督が就任。しかしダブル・シルバが退団した穴は埋め切れず、開幕直後から低迷してしまう。呂比須ワグナー監督が途中就任したものの時すでに遅し。2004年から戦い続けてきたJ1のステージから降格することになった。
18年は相変わらず戦術が定まらないなか、エースとして期待された新助っ人のターレスもこれまでわずか3ゴールと結果を残せずにいる。負の連鎖に加え、歯車も噛み合わなくなってきてしまっている。おそらく15年以降、ポジティブな状況がほとんど訪れず、ここに来て一気にクラブ全体が自信を喪失している感じだ。
セルジオ、ファビーニョ、シルビーニョ、エジミウソン、マルシオ・リシャルデス……どの時代にもJリーグの中でも優秀な助っ人ブラジル人選手がいた。新潟は彼らに支えられてきたチームであることが分かる。ここ数年、そしてこのJ2降格のタイミングで、そうした体制からの転換を試みたものの、結果的に失敗に終わった。
新潟OBのブラジル人選手たちは、とにかく新潟のことを大切に思っている。そうしたつながりが(元選手が仲介人になるなど)あるからこそ、優良助っ人を輩出できてきたのもまた事実だ。
新潟が持つ最大の武器は、そのブラジルスカウト網であるはず。もちろん、現在、ブラジル人選手は欧州、中東、中国と引く手あまたで、非常に市場価格が高まっている。新潟としては、その争いに飲み込まれたくないという意図も伺える。
ここまで低迷してしまうと、助っ人活用を謳うには難しさがある。それでも鹿島とはまた異なるアプローチの仕方で、新潟は日本とブラジルをつなぐクラブとして、活路を見出していけないだろうか。新潟再建の力になりたいと考えている助っ人OBはきっと少なくないはずだ。
文:サカノワ編集グループ