【浦和】渡邊凌磨「失敗を恐れず」ヘグモ流4-3-3の左サイドバックに挑戦
渡邊凌磨。写真:石橋俊治/(C)Toshiharu ISHIBASHI
指揮官の求めるSB像「どんどん前に上がっていって、2対1(数的優位)の形を作ってほしい」。
FC東京から完全移籍で浦和レッズに加入した渡邊凌磨は1月14日の新体制発表会で、「いろいろなポジションができるので、どこがいいというのは特にない」とマルチぶりをアピールした。プレシーズン序盤、その多才ぶりと可能性をさっそく見せ付けている。
大原サッカー場で新シーズン初めてファン・サポーター、メディアに公開された15日の練習では、右ウイングに配置されて「ワイドのポジションは考えることも多い」と微笑んだ。そして沖縄県金武町で17日から行われているキャンプでは、昨シーズンのJ1最優秀ゴール賞を獲得した27歳のアタッカーは、左サイドバックのポジションに入った。
沖縄SVやベガルタ仙台との対外試合にも出場。仙台戦のあとには、こんな言葉を残している。
「気持ち的にはたくさん失敗して、もしも開幕で左サイドバックとして出るとなった時に心配しないためのキャンプだと思っています。そうしたなか、失敗を恐れずできたと思います」
FC東京でサイドバックのプレー経験はあるが、あくまでもスクランブル的な起用だった。一方、浦和の左サイドバックは、荻原拓也と明本考浩が海外へ移籍したものの、パリ五輪世代の大畑歩夢がいて、ベテランの宇賀神友弥もFC岐阜から復帰した。
それでも本職ではなかった渡邊がテストされているのは、ペア=マティアス・ヘグモ新監督が[4-3-3]システムのもと掲げる、攻撃的なスタイルと密接にリンクしている。
左右のウイングをキープレイヤーと捉えるヘグモ監督は、両サイドバックにこんな役割を求める。
「どんどん前に上がっていって、2対1(数的優位)の形を作ってほしい」
複数のポジションに対するポリバレント能力に長け、縦への推進力も兼ね備えている渡邊は、ミッションを託す上で、うってつけの存在だと指揮官の目に映ったのだろう。実際に渡邊も左利きの左センターバック、マリウス・ホイブラーテンの名前をあげて、「戦術理解は深まったと思う」と確かな手応えを得ていた。
「マリウスとの意思疎通にしても、自分に当てるのか、それとも(松尾)佑介に当てるのか、そういう部分が練習を積み重ねるごとに分かってきています。プラス守備でも、ある程度、自分のなかで細かい決まりごとも作れてきました」
縦関係でコンビを組む左ウイングには、ベルギーから復帰した松尾佑介や群馬・前橋育英高の同期生だった小泉佳穂が配置されてきた。今後はインサイドハーフの選手個々の特徴も加味させながら、左サイドバックの動きも細分化されていくに違いない。
右サイドバックの酒井宏樹ともよく話し込む渡邊は、さらに先を見据える。
「いろいろと学んでいかなければいけないので。センターバックの二人だけではなく、監督やコーチからもどんどん学びながら、不慣れなポジションでも成長していきたい」
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渡邊は新体制発表会見で「チームの勝利に貢献するのが全て。どのポジションでも全力で戦う」と誓いを立てていた。新生レッズを象徴し、勝利へのカギも握るかもしれない新たなポジションで、渡邊は誓いを具現化させるための準備を進めていく。
取材・文:藤江直人