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【鹿島】「まだまだ難しい」佐野海舟が攻撃面でも新たなフェーズへ。日本代表のアジアカップを経て、町田でともに戦ったポポヴィッチ監督のもと

チーム合流直後、水戸とのPSMに45分間出場した鹿島の佐野海舟。写真:松村唯愛/(C)Yua MATSUMURA

「自分がちょっとでも遅れたらみんなの動きが全て無駄になる」

 サッカー日本代表の一員としてアジアカップを戦ったボランチの佐野海舟が、ランコ・ポポヴィッチ新監督率いる新生・鹿島アントラーズで今季、攻撃面でよりダイナミックさを求められている。

 島根県の米子北高からFC町田ゼルビアに加入した佐野は、プロ2年目の2019シーズンから3年間にわたって、セルビア出身のポポヴィッチ監督の指導を受けている。指揮官が標榜するサッカーを誰よりもよく理解している一人と言っていい。

 しかし後半開始からカシマサッカースタジアムのピッチに立った2月10日のJ2水戸ホーリーホックとのプレシーズンマッチ後の第一声はこうだった。

「ポポさんとは町田で一緒にやっていましたけど、鹿島ではチームとして狙うプレーと自分のプレーがまだマッチしていない。なるべく早くそれらを近づけていって、自分のプレーも出しつつ、チームに求められるプレーも出せるようにしていきたいです」

 最も戸惑いを感じているのが攻撃面での対峙するラインを剥がした直後のプレーだ。ポポヴィッチ監督はゴールに向けて最短距離で攻め込む形を求める。

 鋭い縦パスを前線につけた場合はもちろん、たとえ失敗したとしても前へボールを運ぼうとするプレーに対して、指揮官は「ブラボー!」と称賛する。対照的に攻め込む準備が整っていながら前へ運ぶのを中断したり、ボールを後方に下げたりすれば、日本語で「なんで!」という声が飛んでくる。

 佐野は胸中を打ち明ける。

「今まではテンポを上げなくてもいい、と思っていた場面でも崩しに行くサッカーをやっているので、そこで自分がちょっとでも遅れたらみんなの動きが全て無駄になる。そうした狙いやみんなの動きに合わせるところが、まだまだ難しいと感じています」

 ポポヴィッチ監督のもと鹿島は1月9日に始動し、その後の宮崎キャンプを通じて指揮官のスタイルと理論が浸透されてきた。水戸戦に出場した佐野を除くボランチ、知念慶や樋口雄太、名古新太郎、さらに負傷離脱中のキャプテン柴崎岳は共通理解を深めている。

 一方で森保ジャパンに招集された佐野が鹿島の練習に初めて参加したのは水戸戦前日の9日だった。

「鹿島の練習やトレーニングマッチの動画は見ていたし、頭の中では何となく整理はついていましたけど、それをプレーにしっかり出すにはもう少し時間がかかると思います」

 イメージとピッチ上で選択する実際のプレーがまだ乖離していると認め、自身がプレーした後半は全体的に間延びした点を反省しながら、佐野は努めて前を向いた。

「それでもやっていかなければいけないし、そのなかで自分というものを出していかないと代表には選ばれない。水戸戦は学びもすごく多かったし、それを活かすかどうかは自分次第。まずはこのチームでスタメンを取ることからスタートさせたい」

 デュエルでの守備力の高さを評価される佐野は、元日のタイ代表戦では代表で初先発し、最後まで国立競技場のピッチに立った。しかし、舞台をカタールに移したアジアカップでは途中出場で2試合、プレー時間は21分にとどまった。

「あそこ(日本代表)にいて、強くならない方がおかしいと思っているので」

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 進化を継続させていくためにも、2026年夏の北中米ワールドカップに向けて、日本代表に選ばれ続けたい。昨年10月に初めて招集された代表に抱く熱い思いが、鹿島でのタイトル獲得を誓う佐野を突き動かしていく。

取材・文/藤江直人

Posted by 藤江直人

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