なぜ!?0-0の後半開始から湘南が布陣変更。曺貴裁監督の意図とは?
湘南ベルマーレの曺貴裁監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
時間帯別得失点の「46分~60分」、FC東京は最多得点を決め、湘南は最多失点を喫していた。
[J1 24節] 湘南 0-0 FC東京/2018年8月26日/Shonan BMWスタジアム平塚
0-0で折り返した後半、湘南ベルマーレは4-1-4-1の右サイドハーフで先発していた小川慶治朗からリベロのアンドレ・バイアを投入する。そして基本布陣と言える3-4-2-1に代えて、FC東京と対峙した。小川の運動量が落ちたり、何かトラブルが起きたわけではなさそうだ。
試合後、曺貴裁監督はその選手交代と布陣変更の意図について、次のように説明した。
「(後半開始からの布陣変更は?)そのようにしようと思っていました。FC東京さんにはいつも分析され、前半のうちや後半の立ち上がりに点を取られたあとに引かれて負ける展開が多かったので、少し何かこちらから仕掛けないと、彼らの掌のなかで動かされているだけになるなと思っていました」
今季の15分間区切りの時間帯別得失点のデータを見ると、FC東京の最多得点はまさに後半開始の「46分~60分」の「9」(続いて「1分~15分」の「8」)。一方、湘南の最多失点は「46分~60分」と、「76分~試合終了」までの「8」(そのうち2点がアディショナルタイム)だった。
しかも実際に、湘南は今季リーグ4節の味の素スタジアムでのアウェーゲーム、後半開始直後の46分にディエゴ・オリヴェイラにゴールを許し、0-1で敗れていた。
後半開始に最多得点を決めているFC東京に対し、最多失点を喫している湘南がどう対応すべきか――。そこで指揮官は思い切った布陣変更という決断を下したのだ。
「(立ち上がりは)センターバックを2枚にして、サイドの選手は攻撃に行こうとした。そこを少し固定的にして、守る選手と攻める選手を分けて入った」
「前半は少しリスクもあったが無失点で抑え、シュートチャンスも作れていました。そういう意味ではプランの中で試合ができていたと思います。後半はバイアが入って真ん中のパワーが増えたことで、相手選手の足もだんだん止まり始め、交代選手を使うのが非常に難しい展開になりました」
FC東京が60分から次々に選手カードを切るなか、湘南は先発した選手たちに期待して引っ張った……だがゴールを決め切れず。86分にイ・ジョンヒョプ、90+1分に高山薫を投入したもののスコアレスドローに終わった。指揮官としては、何とか勝点1を掴めたとも言えるし、「切り札」をもう少し早く使うべきだったかもしれないとも感じていたようだ。
逆にFC東京もかなり対戦相手に分析されてきていることが分かる。相手のさらに裏を突くような戦い方が求められてきそうだ。
文:サカノワ編集グループ