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【パリ五輪 なでしこ】佐々木則夫委員長が語るアメリカとの歴史、準々決勝の勝算「我々が育ててもらった面もある」。サッカー日本女子代表、今日大一番

アメリカとの歴史やつながり、そして準々決勝への想いを語ったJFA女子委員長の佐々木則夫氏。写真:早草紀子(C)Noriko HAYAKUSA

ポイントはショートカウンターの攻防。

[パリ五輪 準々決勝] 日本 – アメリカ/2024年8月3日22:00(現地15:00)/パルク・デ・プランス

 パリ・オリンピック女子サッカーの準々決勝、なでしこジャパン(日本女子代表)が日本時間の今日8月3日22時から、アメリカ女子代表と対戦する。これまでの通算成績は計40試合、1勝8分31敗である。

 数字的には大きな差がある。ただ昨今は大差が付くこともなく、試合内容は五分と言えたものもあった。直近の「SheBelieves Cup」でも1-2の最少失点である。攻撃的である4-3-3の前からのプレスが機能して善戦した試合もあった。

 とはいえ主要大会ではなかなか勝たせてもらえないのが現実だ。そのアメリカに唯一の勝利を収めているのが、日本サッカー協会(JFA)女子委員長を務める佐々木則夫氏が監督を務めていた2012年3月のアルガルベカップのグループステージ。なでしこジャパンは高瀬愛実のゴールで1-0の勝利を収めた。

 前年のドイツ・女子ワールドカップ決勝では記録上は引き分けであるが、PK戦の末に、アメリカを下して優勝を果たした。

 佐々木委員長が今回の準々決勝を前に、アメリカとのこれまでのつながり、そして”勝算”について語ってくれた。

「我々はアメリカに育ててもらった面もあります」

 佐々木委員長は2007年12月からの約2年間はなでしこのコーチを務めていた。04年のアテネ五輪出場を果たした日本だが、世界の強豪チームとのマッチメイクをできずにいたなか、対戦相手として買って出てくれたのがアメリカだった。

 そこから日本は負け続けるわけだが、アメリカの”世界一”のレベルを体感することで、選手たちはその差を共有。それぞれが日々のプレーに生かしていった。

「フィジカル、パワー、スピード全てが上回っている相手にも、『勝てない』わけではない。こうすれば戦えるという『経験』を備えていきました」

 なでしこJAPANの選手たちは、どんな相手にも臆することがなくなっていった。そしてアジアで力を付けていった日本は2008年の北京オリンピックでベスト4入りを果たす。その後はアメリカとも定期的に、一年に一度は必ず対戦する関係を築いている。

 一方、女王の座に君臨してきたアメリカだが、昨年の女子W杯ではまさかのラウンド16で敗退した。チームは過渡期にあり、5月にはチェルシーを率いていたエマ・ヘイズ氏が監督に就任した。改めて「攻撃」に重点を置いて前線の個の力を引き出す戦いを磨いてきた。

 パリ五輪のグループステージでは3試合で9ゴールを決めている。池田太監督が率いる日本は、どのように勝機を見出すか!?

「ショートカウンターは強烈です。日本もショートカウンターが得意なので、その攻防をどう制するのか。またゴールキーパーを含めた守備陣のポジショニングは重要で、数的優位を作って対応していってほしいです。グループリーグはそこで慌てて失点していますので、落ち着いて見極めることができれば対応できます」

 また、この準々決勝は15時スタート。暑さや天候も味方にできれば、と佐々木委員長は語る。

「日本の暑さに順応している選手たちですから、きっとこの暑さのなかでも走り切れます。対して暑さはアメリカの足を止める可能性もあります。キックオフの15時は最高気温に近い時間帯ですから、暑ければ暑いほど我々にもチャンスがあるのではないかと思っています」

 中2日での4試合目。総力戦で戦うなか、中心選手たちの心身の疲労は、ここでまずピークを迎えていると言える。準々決勝を戦うためパリ入りした初日は施設内での調整に留め、休養に時間を割いた。

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 昨年の女子W杯はベスト8で敗退している。ここを超えると、メダルチャレンジマッチが2試合待っている。

取材・文・写真:早草紀子
text and ohotos by Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子

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