【鹿島】柴崎岳「特効薬はない」。前線は新たな関係性構築へ…積み重ねた先に突破口があるはず
柴崎岳。写真:松村唯愛/(C)Yua MATSUMURA
相手が引いて対応してきた際、サイドバックの背後を狙われる課題も。
[J1 28節] 東京V 2-1 鹿島/2024年8月25日18:03/味の素スタジアム
J1リーグ28節、鹿島アントラーズは鈴木優磨がPKで90分に1点を返したものの、東京ヴェルディに1-2で敗れた。鹿島からの染野唯月、松村優太、林尚輝とレンタル組3人が契約により出場できないなか、それでも完敗を喫した。リーグ3試合未勝利で4位に後退した。
この日も負傷している知念慶、チャヴリッチが欠場に。さらに夏のマーケットで選手の入れ替えがあったなか、特に攻撃面の連係が噛み合わず苦戦した。
ランコ・ポポヴィッチ監督は試合後の記者会見で、「前半戦の中で前線の連係が構築されていったなか、選手が入れ替わり、新しい選手たちにすぐ機能するのを求めるのは難しい」と、再び前線の関係性の再構築が必要だと語った。
特にチャヴリッチ不在が打撃になっている。また田川亨介、ターレス・ブレーネルと実績ある選手が加わったが、鈴木優磨が最前線で起点になるのか、あるいは田川が張るのか……。スペースやギャップを作り、そこを突いていく狙いは伝わるものの、ある程度の役割がそこまで明確になっていない印象も受けた。パスの意図が合わない初歩的な意思疎通の不足が見られたのは、昨季の悪い時を思い起こさせた。
「特効薬はない」
そう語ったのはキャプテンの柴崎岳だ。
「この夏に加わった新戦力が早くチームに馴染み、戦術的に適応していくのを待ちながら、新しい色のチームにしていかなければいけない。内容を含めて積み重ねていきたいです」
改めてポポヴィッチ監督のもと、鹿島が何を大切にしてきたのかを確認し、攻守において意思疎通が必要なリスクをかけるポイントなど共有していきたい。
また鈴木優磨は「相手もスカウティングを徹底してきている」とも語っていた。
ジュビロ磐田、東京Vが5バック気味に対応した際、鹿島の両サイドバックが高い位置取りをすると、その背後にできたスペースをスピードを生かして突いてきた。攻撃面やビルドアップで存在感を示す安西幸輝と濃野公人だが、攻め上がったあとの戻りが遅れ(知念と佐野海舟がいた時は、そのカバーもできていた)、明らかにそのリアクションのギャップを狙われ、しかも致命的なピンチや失点に直結している。
この夏の選手の大移動により、どのクラブも苦しんでいる。そうしたなか鹿島はこれまでの課題も浮かび上がり、そこを突かれつつある。
柴崎は言う。
「正直、順位は気にしていません。自分たちのやるべきことが重要で、1試合ずつしっかり戦っていくことこそ大切です」
練習と試合の中で練度を高めつつ、ゴールと結果を掴み取っていくしかない。
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鹿島は首位のFC町田ゼルビアと6ポイント差に。またヴィッセル神戸に抜かれて4位となった。次節8月31日はインターナショナルマッチウィークの中断前、アウェーで京都サンガF.C.と対戦する。