タイトル獲得へ鍵握る山本脩斗が語る内田篤人との「バランス」
内田篤人(左)と山本脩斗(右)の先発同時起用はこれからもあるか?写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
出るか、引くか、はっきりと。ここから大切な戦いが続く。
リーグ戦、天皇杯、ルヴァンカップ、そしてアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の連戦が続く鹿島アントラーズは、対戦相手の戦術的な特徴やメンバーに応じて先発の顔触れを代えてフレキシブに戦ってきた。8月28日のACL準々決勝・天津権健戦のファーストレグ、サイドバックは左に山本脩斗、右に内田篤人が入り2-0の先勝を収めた。
リーグ開幕戦など今季途中出場から二人が顔を揃えたことはあった。ただ先発に両者が名前を連ねたのは初めて。ポジションの兼ね合いもあり、ようやく実現したと言えた。
「話をいろいろすることはなくても、普段からバランスは意識しています。特に(天津権健戦は)先制点を奪ってから、どちらかが前に出たら、どちらかが下がると、そこはハッキリさせていました。それはお互いに手でジェスチャーしながら、より明確にしていました」
どちらかが、思い切り仕掛けるときは行く。守るときはしっかり引く。極端なぐらい分かりやすくすることで、バランスを保ったという。加えて状況に応じては、両者が前からプレスを掛けて、天津権健の押し上げを封じることもできていた。
「同時に、相手は時々攻め残りをしていたので、そこに通されてカウンター一発で失点することだけは許されない。そこは一段と警戒して集中しながらできました」
33歳の山本と30歳の内田が見せた、メリハリの効いたバランスの取り方。結果、チームのノルマとしていた「ホームでの無失点」に成功した。
頭脳派サイドバックによる阿吽の呼吸。いずれも、高い位置まで鋭く仕掛けて、すぐリトリートできる運動量も持ち味である。持ち味が少し似ているがために、同時起用がこれまで限られたとも言えるが、この試合では両者がサイドの主導権を握ることに成功。戦い方の一つのパターンを提示できたのではないだろうか。
「試合によって戦い方も変わってきますが、チームとして状況に応じ、全員で意思を共有していきたいです」
山本はそのように言った。
9日に第1戦を1-1で引き分けた川崎フロンターレとのルヴァンカップ準々決勝第2戦、14日にJリーグの湘南ベルマーレ戦、そして18日に急きょマカオ開催になったACLの天津権健戦と続く。そのなかで二人の先発同時起用は再びあるのか? タイトル獲得に向けて、鹿島にとって大切な戦いが続く。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI