元浦和のモーベルグ、精神を患いパニック障害だったと告白。来日当初は良好だったが…
浦和のモーベルグ。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「精神疾患について語るのをタブーにしないため」と振り返る。チェコに渡った頃から不安を抱えるようになり…。
J1リーグの浦和レッズに2022年から2023年途中まで在籍した元スウェーデン代表MFダヴィド・モーベルグ(David Moberg)(現・IFKノルシェーピン)がこのほど、スウェーデンメディア『NT』のポッドキャストでインタビューに応じて、この1年半ほどの心の揺れ動きを整理し、精神を病んでいる状態だったようだと振り返っている。2か月前に母国への復帰を果たし、ようやく落ち着きを取り戻し「精神疾患について語るのをタブーにしないために」と告白している。
『Fotbollskanalen』が9月11日付けでこの記事を引用し、モーベルグの話を取り上げている。
スウェーデン代表にも選ばれていたアタッカーは2018年12月、母国のノルシェーピンからのチェコの名門であるスパルタ・プラハに移籍した。そこで海外生活を始めたが、今思えば「その頃から不安を抱えていた」と感じるそうだ。
そして2021年12月に浦和への加入が決定。パンデミックにより来日が遅れたあと2022年3月に日本でのデビューを果たした。
記事によると、来日当初は「とても調子が良かった」。しかしリカルド・ロドリゲス監督が退任し、マチェイ・スコルジャ監督が就任した2023シーズンは当初レギュラーで試合に出たが途中から出場機会を減らしていった。
AFCアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝には出られず。モーベルグはひどく落ち込み、メンタル面の困難がピークに達した。「パニック障害のような形で表われ、体が奇妙な動きをするようになっていた」と振り返っている。そしてギリシャ1部アリス・テッサロニキに期限付き移籍したが、その間も気分は落ち込んだままだったそうだ。
30歳になったアタッカーは今年7月、アリスへの期限付き移籍を終えたあと、双方合意のもと浦和との契約を解除。ノルシェーピンに復帰を果たした。モーベルグは「今、気分はかなり良くなっている」と言い、「精神疾患について話すタブーをなくすため、辛い気持ちの時、誰でも心を開けるようにその手助けになれればと願っています」と自身の経験を振り返っている。
外国籍選手へのサポート、家族の在留ビザ発給や税制の課題……。このモーベルグの告白の背景には、日本での助っ人選手たちが抱える様々な問題や課題も関係しているかもしれない。浦和にとっては、ACL2022で7試合・5ゴールを決め、タイトル獲得に大きく貢献しており、歴史を語るうえでは欠かせぬ一人であることは間違いない。