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【サッカー日本代表】豪州代表の渋滞による到着遅れ。ホスト国として、ある程度改善できなければ埼スタ開催は検討すべき

埼玉スタジアムでの日本代表対オーストラリア代表戦。両チームの選手を後押しする雰囲気は最高だっただけに。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

雰囲気は素晴らしかった。一方、解消されない輸送面のボトルネック、もっと大きな問題が起きてもおかしくない状況にある。

[W杯アジア最終予選 C組 第4戦]日本代表 1–1 オーストラリア代表/2024年10月15日19:35/埼玉スタジアム

 北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選(3次予選)の第4戦、サッカー日本代表(SAMURAI BLUE)は中村敬斗のクロスからのオウンゴールで追い付き、オーストラリア代表と1-1で引き分けた。

 この試合、オーストラリア代表が交通渋滞に巻き込まれて、埼玉スタジアムへの到着が遅れ、キックオフ49分前になってしまった。豪州代表は試合開始時間を遅らせてほしいとAFC(アジアサッカー連盟)にも要望したが、それは叶わなかったという。

 トニー・ポポヴィッチ監督は試合後の記者会見で「長くても1時間半ぐらいと言われていたが、渋滞により2時間15分かかってしまった」と語った。現地メディアでは、16時30分過ぎに都内を出発したと報じられている。前日練習を踏まえてのスケジューリングだったが、確かに午後5時付近に東京から首都圏に抜けるにしては、やや余裕がなく、コーディネーターの読みが甘かったとも言える。事故渋滞に巻き込まれたという情報もある。

 とはいえ、W杯最終予選という、国の威信を賭けて戦う最高のステージで、「主役」の選手たちには最高のパフォーマンスを発揮してもらいたい。遠路はるばる日本に来てくれたビジターチームの選手たちのピッチ外でのストレスは、可能な限り軽減できるように配慮したい(しかも試合当日となれば、なおさら)。気持ちよく試合を迎えてもらうのが、最低限の歓待であり、もてなしだろう。

 田嶋幸三前会長の「W杯予選を勝ち抜くため」という要望で、埼スタは芝生入れ替え工事を1年間遅らせた背景もある。また、首都圏のスタジアムの中では埼スタ級の中では、使用料が比較的安いという。ただホスト国として、このような状況を、ある程度改善できなければ、埼スタ開催は検討すべきだろう。

 3月20日・25日のバーレーン代表、サウジアラビア代表とのホーム2連戦、まったく同じく埼玉スタジアムでの19時35分キックオフと発表されている。この連戦で日本のW杯出場が決定する可能性もある。

 日本サッカー協会(JFA)、埼玉サッカー協会だけの問題ではなく、国として、世界を代表するトップアスリートのチームをどのように迎え入れるのか。その姿勢や考えも問われている。

 例えば、近年は日本代表のみならずクラブチームもAFCアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の際、中東や東南アジアで警察や軍により選手バスの先導を受ける「エスコート」も増えている。南米や欧州のリーグ戦規模でも見られる光景だ。これは安全のためとともに、まさに渋滞対策でもある。

 いずれにせよ、主役である選手たちが、そこに訪れる観客の無数の車両のために到着できない……とはシュールな状況であり、やはりホスト国の責任も少なからずある。

 浦和美園駅に向かう公共交通は、東京メトロの南北線と直通する埼玉高速鉄道のみで、今回の最終予選はやや遅めの試合開始とあって、行き帰りとも”死のラッシュ”になる。遅延は当たり前。先月の中国戦から改善は見られたものの、それでもまだまだ観客からの不満は噴出している(昼間や夕方の開催であれば、移動の時間帯はばらけるのだが)。

 まさに4年に一度など滅多に起きない問題と現象であり、割り切ればいいのかもしれない。ただ、そうしたこれまでの課題の延長戦上に、今回の渋滞問題もあったと言える。

 オーストラリア代表側の落ち度もあったのかもしれないが、そもそも首都圏の交通事情など知らないという前提に立つべきでもあり、対戦相手に不快かつ不安な思いをさせてしまった。ある程度は、この現実と向き合い、改善に当たらなければいけないだろう。

 チケットは完売していた。5万8730人が来場したオーストラリア戦の雰囲気はとても素晴らしかった。両国サポーターの選手への後押しは最高だった(オーストラリア代表の国歌斉唱のあと、スタジアム全体から大きな拍手が起きていた)。

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 19時35分キックオフ、W杯最終予選の埼スタ開催。一方、何より輸送面のボトルネックは一向に解消されず、もっと大きな問題が起きてもおかしくない状況にある。埼玉から、日本から”サッカー文化”を発信していくならば、官民でも連携を取り、少し真剣に向き合いたいテーマだ。

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