札幌サポーターの大声援。しばし立ち止まった都倉賢が心に誓ったこと
北海道コンサドーレ札幌のFW都倉賢。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
クラブ史上ワーストタイの7失点。大きな拍手とコールで迎えられ、「熱くなるものがあった」。
[J1 26節] 川崎 7-0 札幌/2018年9月16日/等々力陸上競技場
北海道コンサドーレ札幌が川崎フロンターレ戦で、クラブ史上ワーストタイとなる7失点を喫した。しかし、その試合終了後、等々力陸上競技場のゴール裏の一角を赤と黒で埋めた札幌サポーターは、あいさつに来た選手たちを大きな拍手と声援で迎え、その背中を力強く後押しした。ブーイングはなかった。
サポーターの前で立ち止まり、鳴り止まない熱い「コンサドーレコール」に、じっと耳を傾けていたのが、エースの都倉賢だった。
都倉はそのときの気持ちを語る。
「僕らはある意味、プレーをすることで自分たちの責任を負える存在です。ただサポーターは、(北海道胆振東部地震により)辛い思いをしながら期待を胸にここまで来てくれて、それでこんな結果に終わって……。僕が逆の立場だったら、心が折れていたはずです。そのような状況にもかかわらず、あれだけの声援を送ってくれた。それこそがコンサドーレのサポーターの素晴らしい価値だと感じましたし、すごく胸が熱くなるものがありました」
不甲斐なさももちろんあるが、何よりその期待に応えられなかったことが、悔しくてたまらなかった。
「やはり彼らを悲しませることだけはしたくない。シーズンが終わったとき、彼らとACL出場という共通の目標を叶えて、喜び合いたい。そう改めて強く思いました。(この1敗を)いい薬にするかどうかは僕らの行動次第。(立ち上がりの15分間)圧倒できていた時間帯もありました。あとはサッカーの運び方。そこは川崎さんに劣っていると感じました。成長は感じつつ、足りないところは真摯に受け止めていきたいです」
叩きのめされても這い上がる。踏み潰されそうになっても立ち上がる。コンサドーレもまた北海道の大地のように、ここから強くなると、都倉は誓う。
「悔しさはサッカーで返すしかない」
今季のチームスローガンは、「北海道とともに、世界へ」。
選手、スタッフ、クラブにかかわるすべての人が北海道を背負い、ステップアップしながら世界を目指す心意気を持ち、邁進するという覚悟が込められている。
震災を経て迎えた最初の試合で喫したこの歴史的な1敗。北海道コンサドーレ札幌が再生への一歩を踏み出す。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI