「剛さん、決めてますよね?」内田篤人が振ったのは、大岩監督の現役ラストゴールだった。今日、ACL水原三星戦
鹿島アントラーズの内田篤人。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
2009年、チャンスが巡ってきた36歳のベテランが一撃。ACLのグループステージで1位突破につなげる。
[ACL 準決勝 1st-leg] 鹿島 – 水原三星/2018年10月3日19:00/カシマサッカースタジアム
鹿島アントラーズが10月3日午後7時からアジアチャンピオンズリーグ準決勝ファーストレグ、ホームで韓国Kリーグの水原三星と対戦する。
試合前日の記者会見には鹿島の大岩剛監督、内田篤人が出席。大岩監督は「何度もはね返されてきたベスト16の壁を、クラブ一丸で乗り越えることができた。このタイトルを獲るんだという気持ちがクラブに浸透している。しっかり勝ち切りたい」と抱負を語った。
また、内田は「アントラーズが獲れていないタイトルがACLだけ。しっかり獲りたい。(大岩監督を向いて)剛さん選手のとき、(水原三星戦で)CKから点を取っていますよね? 僕は覚えています」と話を振って、二人に笑顔がこぼれた。そして、「タイトルを獲るために鹿島に戻ってきた」と改めて「優勝」へのこだわりを口にした。
内田の語ったのは、2009年のACLグループステージの一戦だ。鹿島は水原三星、中国の上海申花、タイのアームド・フォーシズと同組に入った。3月11日の1節、アウェーでの水原三星戦はマルキーニョスが1点を決めたものの、1-4で敗れる厳しいスタートを切っていた。
そこから3連勝を収めて臨んだホームでの5節、水原三星との第2戦。27分に野沢拓也のコーナーキックに大岩がヘディングで合わせて先制に成功! さらにマルキーニョスの2ゴールで、3-0として快勝を収めた。
当時レギュラーだった岩政大樹が出場できなくなり、急きょ出場の決まった36歳のベテランCB大岩がまさに意地を見せ、チームに勢いをもたらした。
鹿島は上海申花の結果を待たずグループステージ突破が決定。最終節の結果、鹿島がグループ1位突破を果たした。
そして今回、内田が振ったのは、大岩監督にとっての現役時代最後のゴールでもあった。
このときのラウンド16は一発勝負。鹿島はホームでFCソウルを迎え、興梠慎三、青木剛のゴールで2度リードしながら追いつかれ、決着はPK戦に委ねられる。しかしPK戦は4-5と、あと一歩のところで落としてしまった。最後のキッカーは内田篤人だった。
小笠原満男、曽ヶ端準、遠藤康、そして内田。当時を知る選手たちの様々な経験もまた、今、生きている。メンタル面での様々な駆け引きも鍵を握るホームでの一戦。鹿島が初のアジア制覇に向けて、大一番に挑む。
文:サカノワ編集グループ