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【浦和】ローズボウルの衝撃。0-4完敗、無回転ワールドクラス弾からモンテレイに飲み込まれ9分間で3失点│クラブW杯3戦全敗 現地取材

浦和がモンテレイに0-4完敗。クラブW杯はGS3連敗で終わった。 (Photo by Sean M. Haffey - FIFA/FIFA via Getty Images)

サポーターにあいさつしたあと涙を浮かべた原口元気。レッズの背番号「9」は泣いていた。

[米国クラブW杯 E組 GS3節] 浦和 0–4 モンテレイ/2025年6月26日10:00(現地25日18:00)/ローズボウル(ロサンゼルス)

 1000人以上が訪れたサポーターの熱い声援を背に受けて、クラブ・ワールドカップ(クラブW杯)最後の一戦、意地を見せたい浦和レッズだったが、CFモンテレイのワールドクラスのスーパーゴールが飛び出すと、一気に形勢が傾いた。前半30分に失点すると9分間で3失点……次々とファインゴールを叩き込まれた。

「2連敗を喫して敗退の決まったチームは戦意を失う。しかし日本のチームは違うと言えるか?」

 浦和のマチェイ・スコルジャ監督は試合前日の記者会見で、メキシコメディアから受けたその質問に、「それは誇りの問題だ。たとえ大会からの敗退が決まっても、どんな犠牲を払ってでも最高の自分たちを見せたい。我々は決意を持ち、最後まで闘い、どんな犠牲を払ってでも勝利を収めたい」と、一戦必勝を期した。

 複数のポジションのローテーションが予想されたなか、右サイドバックの石原広教のみ欠場。そのポジションにはキャプテンの関根貴大が起用された。

 浦和に用意されたチケットのうち1100枚が買われ、そこにロサンゼルスをはじめ現地の観客も加わり、ローズボウルに響く浦和の大きなチャントが選手たちを後押しした。

 4-2-3-1を採用する浦和は今大会初めて、渡邊凌磨がトップ下、 マテウス・サヴィオが左MFに入ってスタートを迎える(リーベル・プレート、インテル・ミラノ戦は逆)。

 すると23分、浦和がこの試合最初のビッグチャンスを迎える。カウンターから抜け出した渡邊が左サイドへ展開。フリーになった松尾が決定的なシュートを放つものの枠を捉え切れない。

 そして30分だった。サヴィオのプレスが緩んだ隙を見逃さず、モンテレイの「6番」コロンビア出身の25歳ネルソン・デオッサが左足を強振。ミドルレンジからの無回転弾が浦和ゴールを襲い、GK西川周作は弾き切れず、ゴールネットを揺らした。

 浦和に重くのしかかる1点。一方、モンテレイは緊張感から解放され、奔放にパスを回して試合を支配していく。

 浦和対策で採用された2トップがハマり、レッズの右サイドを完璧に打開。エースストライカーのヘルマン・ベルテラメが左足でゴールを仕留める。

 モンテレイはさらに畳みかける。39分、メキシコ代表のヘスス・マヌエル・コロナがコントロールしたミドルをゴール隅に突き刺し、あっという間に3点差とした。

 浦和はボールを奪いに行こうとするものの、ことごとくかわされてしまう。その恐怖からか、ボールサイドにいけなくなってしまう。

 後半開始から、浦和はチアゴ・サンタナ、松本泰志を投入。さらに荻原拓也、大久保智明、二田理央を加えて、反撃を試みる。だが何度かモンテレイゴールに迫ったが、決定機まで持ち込めない。

 後半途中からは、ピッチ全面を日陰覆った。それに呼応するように、GS突破が確実となる3点リード(2点差以上がターゲット)を保ちたいモンテレイはヒートアップした試合のテンションを落とし、セーフティに試合を進めていった。

 このままでは終われない。79分には「We are Reds!」の猛烈な声援が送られた。

 もう一度、闘志を燃やした浦和は、アディショナルタイム、チアゴ・サンタナがゴールネットを揺らした。しかしオフサイドで幻に終わる。

 意地のゴールは奪えず、逆に90+7分、ヘスス・マヌエル・コロナにこの日2点目、トドメの4点目を決められてしまった。

 ローズボウルの衝撃。浦和はクラブW杯、3連敗の勝点ゼロで終わった。リーベル、インテル戦で、俺たちはきっと、やれるはずだと手応えを得ていた。その自信と意思を完膚なきまでに打ち砕いたモンテレイの圧巻の4ゴールだった。

 試合終了のあと、ゴール裏のサポーターへあいさつをしたあと、この日出場機会を得られなかった原口元気は涙を浮かべてユニフォームで顔を拭った。

 浦和の背番号「9」は泣いていた。

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 そしてレッズサポーターはしばらく、ゴール裏に立ち尽くしたままだった。

Posted by 塚越始