栃木SC vs 相模原で前代未聞の誤審、大幅ラインオーバーもゴール認められる。なぜ起きた? 手前で倒れた選手が…
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クロスを上げる軸足が、明らかにゴールラインを越えている。
[J3 21節] 栃木SC 1-2 相模原/2025年7月20日19:03/カンセキスタジアムとちぎ
J3リーグ21節、SC相模原が後半アディショナルタイムの常田克人のゴールで、栃木SCに2-1の勝利を収めた。
しかしこのATの決勝ゴールは、SNSなどでも拡散され、またDAZNのVTRでも振り返ると、常田に折り返されたクロスボールが、ゴールラインを割っている。こうして映像が残る現状を踏まえると、明らかに“誤審”であったことが分かる。
1-1で迎えた90+3分、加藤拓己がゴールライン際で、左足でボールを折り返す。そこに常田が合わせて、ゴールが認められた。
しかしVTRで見ると、そもそも加藤の軸足がゴールラインの外に出ていて、ボールはかなりラインの外に出ている。そのマイナスの折り返しに加藤が合わせたのだ。
副審は旗を上げず、それを確認したうえで主審が相模原の得点を認めている。
明らかな誤審であった……。一体なぜ起きたのか?
まず副審の基本的なポジショニングは決して間違っていない。ただ、今回で言えば、ある意味、“鉄則”に基づきすぎたと言えたか。
最初にシュートへ詰めた高木彰人が副審よりのゴールポストに接触してライン上で十字になるように倒れ(決してわざとではない)、ボールがライン上で越えたかどうかチェックできない状況になっている。加藤がクロスを放った瞬間、ラインの外かどうか分からない状況になっていたのだ。加えて2本のポストを挟んだ向こう側での事象で、より分かりづらくなっていた。
分からない時はフラッグアップしないというのが副審である(主審の判定をサポートする立場でもある)。そこで判断を委ねられた主審が、相模原のゴールを認めたのだ。
副審と主審のポジショニング、倒れている高木の状況、加藤や常田らの最後まであきらめなかった姿勢……それら複数の事象が重なり、今回の“あり得ない”誤審につながった。
結果的に主審は即座にボールはラインを割っていなかったと判断したことになる。 もちろん、最後までゴールを狙っていった相模原の姿勢もまた称賛されるべきだろう。
もしも主審がジャッジを下し切れないと感じれば、副審らと情報を共有しあって(加藤の軸足の位置など)、最終決断を下しても良かったかもしれない。ただ、俯瞰できるテレビカメラと、ピッチレベルにいる選手と審判団では、見えている世界がそもそも異なる。
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VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の採用されない現状では、こうした疑惑の判定がなくなることはない。