鹿島の鈴木満強化部長が明かす「内田篤人復帰」の効果
鹿島アントラーズの内田篤人。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ポジションを争う伊東幸敏や安西幸輝の反応を見て、ポジティブに‟いける”と思えた。
「鹿島の伝統を継承していくうえで、鹿島を知り、海外やワールドカップの舞台でも活躍した彼なら、間違いなくチームに良い影響を与えてくれる」
内田篤人の鹿島アントラーズ復帰について鈴木満強化部長はこう期待を寄せた。
さらなる高みを求めて内田がシャルケ04への移籍を決断したときも快く送り出し、2013年からの右ヒザのケガによる長期離脱を余儀なくされた不遇のときも、気をかけてコミュニケーションを取り続けた。鈴木強化部長は柳沢敦、中田浩二、鈴木隆行、小笠原満男ら、これまで欧州主要リーグに羽ばたいていった鹿島の選手同様に、内田のサッカー人生に寄り添ってきた。程よい距離間を保ちながら。
その結果、「何より鈴木満さんかな……。満さんがいてくれたから、鹿島に必ず戻ってこようと思った」と内田の心のなかで、いつかは鹿島へという思いは揺ぎないものであり続けた。本格的にチーム復帰へのアプローチをして2年。内田が古巣への復帰を決断した。「いずれにせよ、契約は2018年6月までだった。そこで日本に戻って来ようとは思っていた。それが半年早まったという話」(内田)だったそうだ。
内田復帰によってチームにはどんな作用が生まれるのか。鈴木強化部長は言う。
「直接レギュラーの座を争うことになる右SBの伊東(幸敏)や東京ヴェルディから加入した安西(幸輝)からも、復帰した場合のネガティブな声は聞かれず、むしろ憧れの選手と一緒に練習できることによって、さまざまなことを吸収したいとい言っていた」
無論、それが建前か本音かを見極める。そのうえで、鈴木強化部長はポジティブに”いける”と確信した。さらに選手たちに、こうも宣言した。
「すべての選手に試合へ出るために競争をしてもらう。そして試合では勝つために結束する。試合が終われば、また競争をして、そこで勝った者が次の試合に出る」
それが鹿島の流儀。内田復帰はサポーターにとって嬉しいニュースであることは間違いない。そして、UEFAチャンピオンズリーグなどトップレベルで戦ってきた内田の経験は、鈴木部長が言うように、チーム内の競争意識を活性化させそうで、誰も分からぬような波及効果さえ起き得る。
文・徳原隆元
Text by Takamoto TOKUHARA