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内田篤人が手袋を外した理由――7年半ぶりに帰還したカシマスタジアムでのナイターにて

内田に流れる鹿島の血が騒ぎ出した。(C)SAKANOWA

「そんなに寒くないなって。ドイツはめちゃくちゃ寒かったから」。内田の心も熱く燃え出した。

 午後7時キックオフのナイターで開催された2月14日のACL(アジアチャンピオンズリーグ)の鹿島アントラーズ対上海申花戦。7年半ぶりにカシマスタジアムのピッチに帰ってきた内田篤人は、右サイドバックとして先発フル出場を果たした。

 それは試合開始間もない、4分のことだった。鹿島がゴール前でミスを続け、警戒していたジョバンニ・モレノに先制点を決められてしまう。なんとも言えない嫌な流れが漂うなか、この大事な試合のスタートを切ってしまった。

 するとそのあと、内田は着けていた防寒用の黒い手袋を外す。そして手を叩いて、ここからだ、と味方を鼓舞した。

 そのときのことについて、内田は試合後こう語っていた。

――先制点のあと、手袋を外したが?

「そんなに寒くないなって」

――結構寒かったと思うけれど?

「ドイツは、めちゃくちゃ寒かったから。それに比べたら、こっちはそうでもなかったかな」

 内田は笑った。実際にドイツの冬は最高気温が上がらず、鹿嶋のほうがベルリンよりも若干だが気温は高い。ただ、内田の心も熱く燃え出した、と言えるかもしれない。

 鹿島は2月21日にACLアウェーで韓国の水原三星と対戦する。若干の筋肉系のリバウンドがあったという内田は大事を取って欠場。果たして週末のJリーグ開幕の清水エスパルス戦に間に合うか。いずれにせよ、内田は鹿島の勝利のために、どんな貢献も惜しまないという覚悟だ。

「チームが勝ってほしいよ。勝ち続けてナンボだから、このチームは。勝てば、自分も、チームもいい波に乗っていける」

 背番号2を再びつけて走り、内田に流れる鹿島の血もふつふつと騒ぎ出した。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

 

 

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