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【日本代表】久保建英「86分間」の収穫と課題、森保一監督「チームとしてやるべきことを…」

コートジボワール戦での久保建英。写真:日本サッカー協会/(C)JFA

「まだまだ体力的につけていってもらいたい」

 日本代表はオランダでの国際親善試合10月シリーズ、カメルーン代表とはスコアレスドロー、そしてコートジボワール代表には後半アディショナルタイムの植田直通のダイビングヘッド弾で1-0の勝利を収めた。約1年ぶりの活動は、アフリカの強豪相手に1勝1分と結果を残した。

 注目を集めた19歳の日本代表MF久保建英はカメルーン戦では65分から3-4-2-1のシャドー、コートジボワール戦では4-2-3-1の左MFで先発して61分に交代。トータル「86分間」の出場機会を得た。そのなかで、縦への突破やスルーパスなど光るプレーは見せた一方、決定的な仕事は見せられなかった。

 これまで中盤の右サイドとして、FC東京やRCDマジョルカで結果を残してきた。中盤のあらゆるポジションでプレーできる、というスタンスではあるが、ビジャレアルCF、そして日本代表でも、左サイドではカットインに持ち込めないなどプレーが限定され、持ち味を発揮しきれずにいる。

 プレーの幅を広げさせよう、というトライでもあった。たが高いレベルを相手にすると、まだ壁と向き合っている。

 日本代表の森保一監督はコートジボワール戦のあと、久保のパフォーマンスについて次のように語った。

「久保から南野への交代について、チームとしてやるべきことをやり、余力を残すのではなく、高いインテンシティでハードワークを続けていました。久保は久保で今持っている力を、プレーしている時間帯は出してくれました。これからもまだまだ体力的につけていってもらいたいと思っています。すべてを出し切り、全力で戦ってくれた部分では満足しています」

 そのニュアンスからは、久保は今持っている力を出し切ってくれた。が、そのハードワークではまだ物足りない、ということが伝わってくる。

 左右どちらのサイドでの起用か、という点はもちろん影響した。ただ森保監督は、上手くいかなければ、チームのために走る、チャンスをもたらすために何ができるかを考える、そういった点を要求してもいたようだった。

 その課題は、昨季のマジョルカから格段にチームレベルの上がったビジャレアルでの課題とも共通する。

「疲れた時、流れが悪くなった時、勝ち切るため、サブの選手にはチームに活力を与えてもらいたい。最後、植田が決勝点を決めてくれましたが、1試合目に出場機会がなくても練習中から、チームのために準備をしていました。今日も集中を切らさず最後までいい準備をしてくれたことが、決勝点につながったと思います」

 指揮官は土壇場で代表初ゴールをモノにした植田の活躍について、ある意味、必然だったと受け止めていた。そのチャンスが来るだけの怠らない準備をしていた、と。

 日本代表の前線の選手は、自身のアピールに走りがちになる。それは指揮官があえて現段階でそのようにしている印象も受けるが、森保ジャパンの課題にも挙げられる。中島翔哉、堂安律、さらに所属先でのパフォーマンスでいえば大迫勇也も南野拓実も“安泰”ではなくなってきたことで、約1年ぶりの今回の活動では、その色は濃くなった。

 そういった状況にもパンチを与えた植田のゴールだった。まだ日本代表で得点できずにいる久保にも少なからず影響を与えたはずだ。

 すぐビジャレアルでの戦いがリスタートする。先発の機会はまだないとはいえ、開幕からコンスタントに機会を得ている点は、久保にとってプラスと言える。今回は時差もなかった。「86分」での収穫と課題を咀嚼し、今週末はバレンシアCFとのダービーマッチを迎える。

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[文:サカノワ編集グループ]