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なでしこJAPAN復帰の成宮唯「めっちゃ楽しいですよ!」INAC神戸で遂げる進歩

浦和L戦で先制点を決めたINAC神戸の成宮唯。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

「私たちの足は止まらない」そのチームの中心で躍動――。浦和戦では今季を象徴するゴールを決める。

 WEリーグ首位に立つINAC神戸レオネッサの成宮唯が、チームを牽引する存在として一段と輝きを増している。その活躍ぶりはなでしこジャパン(日本女子代表)ニルス・ニールセン監督の目に留まり、カナダ女子代表戦に臨む代表メンバーにも選出された。

 スペイン人監督時代に叩き込まれた緻密なサッカー観を土台に、今季は宮本ともみ監督のもとでより自由に力を解放し、自らの扉を開いている。求められる以上のものを追求し、日々のトレーニングでは宮本監督や大野忍コーチと粘り強くコミュニケーションを重ねる。

 その成宮の姿は「自分がゴールを決めればチームは勝てる!」という言葉を、自分を鼓舞するためではなく、『確信』へと変えてきた成長の証でもある。中盤ながら、今季これまでチーム3位の5ゴールを決めている。

 練習後の表情はいつも晴れやかだ。「めっちゃ楽しいですよ!」と弾ける笑顔で語り、得点後には監督やコーチの元へ真っ先に駆け寄る。彼女を中心にできる輪は、個の自信がチーム全体に波及していることが伝わってくる。

「見てもらったら分かるように……」と、成宮はよく口にする。その後には「私たちの足は止まらない」「コンビネーションの形が増えている」「スタッフとの信頼関係がある」など、常にチーム全体の成長を見据えた言葉が続く。

 そうした進歩を続ける過程のなか、11月8日に行われたホームでの第13節・三菱重工浦和レッズレディース戦(〇2-1)でのパフォーマンスは象徴的だった。

 前線からのアグレッシブな守備、こぼれ球への執着、奪った瞬間にスコアリングポジションへ飛び込む切り替え——。浦和の高橋はなに対して、成宮はフィジカル差を補う集中力と一瞬の爆発力で対応し、中盤の主導権を引き寄せた。

 16分の先制点は、吉田莉子の寄せに連動して奪い切り、そのまま左足で流し込んだ。今季の成宮を象徴する一撃となった。

 前期の同カードでは「これが今の実力」と悔しさを滲ませたが、わずか1か月半後にはアディショナルタイムで勝ち越し、課題を克服。成宮のバージョンアップは着々と進んでいる。

 ここからチームは皇后杯、リーグカップ戦を挟み、再びリーグ終盤へ向かう。

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 首位に立つとはいえINAC神戸はまだまだ伸び続ける可能性をたくさん秘めている。その中心にいる成宮唯が、チームをさらなる高みへ引き上げていく。

成宮を中心にできるINAC神戸の歓喜の輪。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子