大宮がWEリーグ参入を決断した背景とは?佐々木則夫氏の心を捉えた少女の言葉
大宮の森正志社長(左)と佐々木則夫氏(右)。写真:大宮アルディージャ
FC十文字VENTUSが「母体」になるかは未定。
来秋に開幕するWEリーグの11チームが決定し、これまで女子チームを持っていなかったJ2リーグに所属する大宮アルディージャの参入が決まった。大宮でトータルアドバイザーを務める佐々木則夫氏は、優勝した2011年のドイツ・女子ワールドカップ(W杯)のなでしこジャパンの指揮官であり、女子新リーグ準備室長を務めてきた。その佐々木氏が今回の決断に大きな影響をもたらしたのは間違いない。
大宮は2010年から当時のASエルフェン狭山FC(現・ちふれASエルフェン埼玉)と提携し、3年間指導者を派遣、Jリーグが開催されるスタジアムでの広報活動などをサポートをしていた。女子チームを保持したいという考えは、この頃からあった。
佐々木氏は今回の決定を受けた記者会見で、次のように語った。
「スタジアムやスクールにたくさんの子どもたちが来てくれるなか、『私は将来、アルディージャのユニフォームを着てプレーすることはできないんですか?』とある少女が告げた言葉が、女子チームを持とう思う大きなきっかけになりました」
また、佐々木氏は十文字学園女子大学の副学長という立場にもある。十文字学園といえば、なでしこリーグ2部の「FC十文字VENTUS」を保有している。
今回の参入申請に向けて、VENTUSとさまざまなノウハウを共有したことを大宮の森正志社長も明言している。ただWEリーグの会見で岡島喜久子チェアから、大宮は十文字学園を母体とするとの発言があったが、森社長は「現段階でいろいろと協力をいただいている」状況で、「母体として入ってくるかは未定」として、どのような協力態勢を築いていくかを検討しているという。
佐々木氏は「個人的な見解」と前置きしたうえで、チーム構想を語った。
「大宮はアメリカのエージェントと提携し、現在調査をしてもらっています。160万人位の登録者数がいて、トップグループも層が厚い。そういった選手と、ベテラン、若手の3つの層で形成するのがWEリーグに参戦するにはいいのではないか」
そのように大宮のコネクションを活用し、外国籍選手を獲得する案が示された。
コロナ禍での決断である。森社長は「厳しい時代がずっと続くことはない。乗り越えて行けると信じ、我々の理念をつなげていくためには、このスタートの時に参入するということが後々アドバンテージにつながると踏み切った」と背景を語る。WEリーグのカギを握る新規参入チームとして、大宮がどのように道を切り開いていくのか注目したい。
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[取材・文:早草紀子]