ジェフレディース、WEリーグ参入決定。大滝麻未は感慨深く「『女の子だからできない』が『女の子だからこそできる』に変わり、メッセージとして伝えることが責任に」
ゴールに歓喜するジェフレディースの大滝麻未(9番)ら。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
クラブは新たな客層を開拓し、男女の相乗効果を狙う。
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが、来秋開幕する日本初の女子プロサッカーリーグであるWEリーグ(Women Empowerment League)に参入することが決定した。
「女子チームの発足が経営を圧迫するのではなく、我々がより発展するための起爆剤になると思っています」
千葉の森本航社長はWEリーグ参入を大いなるチャンスと捉えていた。
Jリーグ開幕から25年が過ぎ、男子トップチームであるジェフユナイテッド市原・千葉の中心的なファン・サポーター層は高齢化し、このWEリーグが新たな客層を開拓するうえでも可能性があると期待する。新型コロナウイルスによる経営面への影響の見通しが立たないなか、男女両方のチームでの相乗効果を狙う。
選手たちもただ参入を喜ぶだけにどまらない。責任感という言葉を口にしていた。
キャプテンの瀬戸口梓は満員電車に揺られ仕事をしたあとに練習してきた日々を思い、「今までアマチュアでやってきたので非常に嬉しく思いますが、同時に責任感も生まれて身の引き締まる思いがします。今までは仕事をしていた時間を、自分の足りないところのトレーニングに使えるのは成長していく上で大きなメリットになるはず」と、サッカーに専念できる環境への期待を語った。
社会の中での立場を俯瞰する視点は、ジェフレディースの多くの選手が持っている。なかでも大滝麻未は、中学世代のフォロー、セカンドキャリアの充実など女子選手の地位の確立や社会貢献を促すプラットフォーム「なでしこケア」を創設するなど、これまでもピッチ外で積極的に活動をしてきた。フランスでもプレーしてきた彼女にとって、WEリーグ参入決定は、大きな節目になる。
「一人でも多くの女の子に自分のプレーを届け、『女の子だからこういうことができない』という言葉が『女の子だからこそこういうことができる』に変わり、メッセージとして伝えられるようになることが、選手としての責任だと感じています」
猿澤真治監督は今季から「WEリーグ参入を意識したチーム作りをしてきた」という。なでしこリーグでは現在5勝3分6敗の勝点18で6位。目指すサッカーを表現できてきている。
WEリーグ開幕まであと1年、ジェフが待ち望んでいたステージに立つ。
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[取材・文・写真:早草紀子]