東京五輪へなでしこジャパン再起動。C大阪堺の宝田沙織がCB挑戦!
練習試合に臨んだなでしこジャパン。(左から)宝田沙織(9番)ら。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
高倉監督は「思った以上に非常に高いパフォーマンスを見せてくれた」と頬を緩ませる。
なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)が10月下旬、7か月ぶりに活動を再開させた。東京オリンピックの1年延期が決まったなか23人が招集され、8日間にわたって充実の時間を過ごした。
「シンプルに調子のいい選手を選びました」と高倉麻子監督が選考基準を語ったとおり、なでしこリーグで好調なチームからの人選が目立った。
注目はセレッソ大阪堺レディースから招集された4人。浦和レッズレディース、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、INAC神戸レオネッサの5人に続く人数だった。
C大阪堺は昨季入れ替え戦を制して、再び1部に返り咲いた。好調を維持する今季は上位からも白星を奪い4位につける。
初招集の脇坂麗奈はもちろん、2018年のU-20女子ワールドカップ優勝メンバーでもある宝田沙織、林穂之香、北村菜々美(浦和レッズレディースのFW菅澤優衣香の辞退による代替招集)らは緊張感の見られた初日から徐々に硬さが取れて、各々の良さを見せていた。
なかでも評価が高かったのが宝田だ。高倉監督は「思った以上に非常に高いパフォーマンスを見せてくれた」と頬を緩ませる。
これまではFWとして招集されてきたが、今回の合宿ではセンターバックに挑戦した。自チームでもその長身とポテンシャルを買われ、最終ラインに入る機会が増えている。時には試合中にFWとCBの二役をこなすこともある。
宝田は男子高校生とのトレーニングマッチでは唯一フル出場を果たすなど、多くのチャンスが与えられ、その一つ一つに懸命に応えていた。ともにCBを組んだのは、U-20優勝メンバーの南萌華(浦和)だった。
宝田自身もCBのやりがいを感じてきている。
「最初はFWがいいなと思った部分はありましたけれど、最近はCBでもすごくやりがいを感じていて(どちらをやりたいか)選べないくらいになりました(笑)」
なでしこジャパンの高いレベルの中で吸収しようとする貪欲さは際立ち、「トレーニングやミーティングでの理解力も高い」と指揮官は評価していた。
C大阪堺の4人がフレッシュさ全開で合宿に挑んでいたことで、他の選手も触発されていたようだった。これまでは“若手”で通っていた選手たちも、続々と招集されてくる選手に追われる立場になってきている。
ミスを恐れず思い切って挑んでくる新戦力と、負けじと跳ね返す常連組や乗り遅れまいと奮闘するまだキャリアの少ない選手たち。東京オリンピックに向けて、ここからは集まる機会と時間は限られてくる。どこかふんわりとしていた競争意識が確実にぐっと引き上げられた、心地よい緊張感の漂う8日間の合宿だった。
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[取材・文・写真:早草紀子]