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【浦和L優勝記念対談】清家貴子×塩越柚歩「キコはサッパリ、キッパリ」「柚歩は真面目に見られるけど…」

なでしこリーグ優勝を果たした浦和レッズレディースの清家貴子(左)、塩越柚歩(右)。協力:浦和レッズ

なでしこジャパンでの活躍、皇后杯との2冠に向けて、そしてWEリーグへ――。未来を切り開いた、6年ぶり三度目のなでしこリーグ制覇。

 浦和レッズレディースがなでしこリーグで6年ぶり三度目の優勝を果たした。昨シーズンはあと一歩のところで逃したタイトルだっただけに喜びもひとしおだ。そしてこの“日本一”を手に、2021年は日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)に参戦する。今季浦和の多彩な攻撃の一角を担っていた右サイドバックの清家貴子、そして2列目から前線までをこなすユーティリティ性を発揮した塩越柚歩の二人が、激動の2020シーズンを語り合った。

――優勝おめでとうございます。リーグが終わり、少し優勝の実感は湧きましたか?

塩越柚歩(以下、塩越)「優勝が決まった時は、周りの方たちの反応の方がすごくて、それで『ああ優勝できたんだ』と実感しました。でもリーグも残り2試合残っていたので、そんなに優勝にひたることもなくって(笑)」

清家貴子(以下、清家)「昨シーズンも優勝に手が届く位置にいて、終盤にベレーザ(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)に勝って、ひと段落してしまったというか、ちょっと満足してしまったというか、かなり舞い上がってしまった部分があった。今シーズンはそういう試合が一つもなく、1試合1試合勝つことを考えてやってきた結果だと思っています」

――浦和は開幕戦(ジェフユナイテッド市原・千葉Lに4-2で勝利)からすでにコンディションが整っているように見えました。自粛期間中に取り組んでいたことは?

塩越「ボールを蹴れる場所もなく、ランニングするにしても地面がコンクリートだったり。練習場も使えなくて、なかなか普段の練習と同じ負荷はかけられなかったので、特別にはできなかった。でも、今までのサッカー人生の中でこんなにサッカーから離れることがなかったので、逆にサッカーのことを考え過ぎず、サッカーがない生活を楽しんでいたかな(笑)。サッカーから離れていたから始まった時のありがたみを感じましたね」

清家「うん。本当にありがたいって感じたね。開幕戦の時のことはよく覚えていて、無観客ということもあり公式戦が始まった感覚がそんなになくて……。かなり久々の試合で、体も気持ちの部分でも探り探りだった。逆にサッカーをしてなさ過ぎて、いいイメージだけが先行して、チーム全体がそんな感じで動けていたと思う」

――塩越選手は終盤になるにつれて、シュートレンジが広がり、ポジショニングの柔軟性も感じられました。ご自身で感じる一番の成長したところは?

塩越「昨シーズンはスタメンで出られる感じではなかったので、今シーズンも最初はスタメン発表にドキドキしながらやっていくなか、2節以降スタメンで出させてもらったことは自信につながったと思います。リーグ終盤になるとポジショニングの部分で、いい意味でわがままなプレーができました。周りとのコンビネーションでも、好き勝手に動かせてもらえてそれで自分の良さも出た。みんながいるから思い切ったプレーができる、助け合えるところが生きたのかなと思います」

――自由にプレーできる感覚を実感したのはいつ頃ですか?

塩越「今まではINAC(神戸レオネッサ)とかベレーザを相手に守備の時間が長くて守備に追われるゲームが多かったんですけど、今シーズンはINACに2勝できました。攻撃の時間が長く、自分のプレーが出せた。INAC、ベレーザ相手に自分たちのサッカーができて、自分のプレーが出せたのは自信につながりました」

――今シーズンの清家選手の印象は「強烈なサイドバックになった!」なんですが(笑)、トップからコンバートされた右サイドバックに慣れて、ビルドアップに磨きがかかり、加えて守備面でもコツを掴んだように見えました。

清家「昨シーズンは自分のなかでFWの感覚が残っていて、8対2くらいで攻撃の意識が高かったんですけど、今シーズンはその意識を持ち続けながら、個人での1対1の守備やポジショニングがだんだん分かってきて、そういう勝負で負けなくなったと思います」

――攻撃面では?

清家「昨シーズンを踏まえて1対1の場面で、だいぶ相手にケアされるようになりました。個でマークを外すのが難しくなってきたことで、パスやクロスでチャンスを演出することが増えてきました」

――最も印象に残っているプレーは?

清家「ホームのINAC戦でのアシストです。あれ、柚歩からのパスじゃなかった?」

塩越「そうだと思う」

清家「カウンターで柚歩からのパスを受けてスピード突破して、最後のDFが自分のシュートコースを警戒していたので、そこでマイナスのパスを出して(猶本)光さんが決めたシーン。あれは自分の良さも出せて、周りも生かせて」

塩越「あれはいい流れだった! 私はこれまで毎年、年に1ゴールぐらいしか奪えなくて、それが今シーズンは3点決めれられて。めちゃくちゃ奇跡みたい(笑)。2節のアルビレックス新潟レディース戦の相手の間を抜けて思い切り打ったミドルシュートを挙げたい」

――相手DFが結構いましたね。

塩越「2枚いて、普段だったらあんなところから打たない、得意な角度のシュートではなかった。でもキレイに入ってくれました。今考えるとあそこで点を決めてチームが勝って、いい流れを作れたので印象に残っている」

清家「なんか柚歩が囲まれても安心というか。私も相手のマークにハマってるなと思ったら、柚歩にボールを預けておけば回避してくれるので、すごく助かっているよ(笑)」

塩越「キコは足がめちゃくちゃ速いから、生かしやすい (笑)。結構ズレたスルーパスにも反応してくれるし。すごい上から目線になって申し訳ないけど、どんなパスでも突破して会場沸かしてくれるので、生かしがいがある(笑)」

――ピッチを離れた時のお二人は?

塩越「キコはサッパリ、キッパリしている」

清家「キッパリって何(笑)? 柚歩は真面目に見られるけど、少し抜けているようなところがあるかも」

塩越「真面目というか、大人しく見られるっていうのは分かる。人見知りだから。でも、抜けている、というのは分からないなぁ」

清家「例えば……道を覚えられない。帰り道がどっちかが分からなくなっちゃう。送ってもらうことも多いけど、『ここ右だよね』って分かっている風に聞いてくるけど、『いや、左だし』みたいな(笑)。毎日通っていても、ことごとく間違える、二択なのに(笑)。これはかなり印象的」

塩越「あははは(否定せず)」

――10月、11月のなでしこジャパン(日本女子代表)の候補合宿には、二人揃って選出されました。連続して合宿に参加してみてどうでしたか?

塩越「10月に初めて呼ばれて、ものすごくレベルの高い場所だと率直に思いました。高倉(麻子)監督から『柚歩の良さはボールを失わないことだけど、その分、思い切りが少ない』と言われました。ゴール前では、もっと足を振る意識を持つ方がいいと。そこは11月にも指摘を受けました。なかなかプレースタイル的に思い切ってがんがん足振って、ドリブル突破していく感じではないけれど、そういう部分が成長できたらと思っています」

清家「自分がサイドバックに入った時、味方のサイドハーフをどう動かすかは、ずっとテーマにしています。状況も毎回異なり、敵の長所によってポジショニングは変わります。あと味方がどう守ろうとしているのかを汲み取らないといけないのでかなり難しい。レッズではマンツーマンでマークにつくことが多く、それに慣れているのもあります。代表では相手がより速かったり強かったりするので、単純にマンツーマンでつけばいいというものではないので難しいです」

――むしろ1年延期されたことで、2021年の東京オリンピックが、現実的に視野に入ってきました?

塩越「入れなければならない立場。狙える位置にいるからには、もっと頑張らないといけないね」

清家「それに視野に入れていても、入れているだけで何かが変わるわけではない。1日1日できることは限られていて、結局、行きつくところは同じ。今まで通りしっかりやっていって、選ばれたら光栄なことですし、そこはブレず、自分ができることを日々やっていきたい」

――2冠制覇へ、皇后杯が待っています。どんな戦いをしたいですか?

清家「皇后杯は獲ったことがないので、もちろん目指すべきタイトルです。チームとして守備の部分をさらに強化して、ボールを取られたあとの回収をより速く、シャープにしていこうと日々取り組んでいます。個人としてはリーグ戦で今年は1点しか取れていないので、シュートの精度を高めること、アシストでもいいので得点に絡めるプレーをもっとしていきたいです」

塩越「皇后杯は一発勝負。試合を有利に進められる方が絶対勝利に近い。守備の部分をもっと高めるのと、自分は攻撃的なポジションでもあるので、自分が決めるんだという気持ちで臨みたいです。リーグ優勝したことを変に気負わず、いつも通りの自分たちのプレーが出せたら勝利もついてくると思うし、そこにタイトルがついてきてくれるように頑張ります!」

◆PROFILE◆
清家貴子(せいけ きこ)1996年8月8日生まれ、東京都出身
塩越柚歩(しおこし ゆずほ)1997年11月1日生まれ、埼玉県出身 


浦和レッズレディースの清家貴子。写真:早草紀子/C)Noriko HAYAKUSA
プレナスなでしこリーグの優勝記念対談に応じた清家貴子。協力:浦和レッズ
プレナスなでしこリーグの優勝記念対談に応じた塩越柚歩。協力:浦和レッズ

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[取材・文:早草紀子]

 

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