【皇后杯】浦和L安藤梢が2得点。好調の秘訣は筑波大での研究と後輩の成長

皇后杯3回戦の大和シルフィード戦、2ゴールを決めた浦和Lの安藤梢。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

彼女自身を実験台とした“世界と戦える体作り”を研究。猶本光、高橋はなもその背中を追う。

 地力の差はあれど、何が起こるか分からない。それがトーナメントである皇后杯の難しさだ。リーグ覇者も例外ではなかった。皇后杯3回戦、浦和レッズレディースは大和シルフィードの挑戦に対し、FW安藤梢の2ゴールで勝利を収めた。38歳の安藤は同大会最年長ゴール記録を更新した。

 18分、前線からの激しいチェイシングから浦和Lが仕掛け、水谷有希の突破から高橋はなを経て、安藤が冷静にシュートを決める。さらに51分、高橋と前線まで運んだ猶本のライナー性の高精度のクロスに、安藤が左ボレーで合わせ、チームにとっても貴重な2点目をもたらした。浦和の10番が、文句なしのこの日のヒロインだった。

「(1点目は)高橋はなは前線までツメて、みんなが自分らしさを出しながら生まれたゴール。(2点目は)いいボールで、合わせるだけでした。ホントすごいいいボールだった」

 安藤は自身のゴールより、猶本のクロスをとにかく絶賛していた。

 7月で38歳を迎えた安藤は今季、試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げていった。サイドハーフ、トップ下、ボランチと中盤のあらゆる役割をこなし、途中出場が多くはあったが、その存在感は別格だった。最近は得点源である菅澤優衣香のケガにより、本職だったフォワードを任され、皇后杯では浦和が登場した2回戦から連続ゴールと好調だ。

 なぜここまで高いパフォーマンスを維持して戦うことができるのか。

 その答えは20歳から筑波大学で行っている彼女自身を実験台とした“世界と戦える体作り”にある。

 研究者として自身の体と向き合い、自分でどう動かしたら、どういうコンディションになるかが分かるという。2011年のドイツ女子ワールドカップ(W杯)でなでしこジャパン(日本女子代表)の一員として優勝を果たした際、彼女はすでにこの研究に自信を持ち、「こういう取り組みを若い人たちのために、もっとオープンにしていきたい」と語っていた。結果、今では猶本も同じ学び舎でともにトレーニングし、高橋もその背を追いかけている。

「安藤さんのフィジカルはすごい。あの年齢であれだけ動けるなんて並大抵の努力じゃできないですよ」

 高橋は声高に語っていた。

 その言葉に安藤も嬉しそうに微笑む。

「そうは言ってもさすがに疲労は溜まります。そこであえて練習量も自主トレも減らさずにしようと、試合終了直後から回復とケアに力を入れるようになりました」

 そして何より彼女を高みに引き上げるのは猶本や高橋のような後輩たちの成長だ。

「若い選手が代表(なでしこジャパン)に行って成長して帰ってきてくれるんです。それが私にはすごくいい刺激になっていてありがたい。猶本選手なんか最近は『梢さん、もうちょっとこうした方がいいよ』とか言ってくるまでになった(笑)。すごくプラスになっています」

 後輩たちにとっても安藤の存在は特別である。それは随所で目にすることができる。

 途中からピッチに立つ際、途中でベンチに戻る際、その時々で周りの選手のテンションが上がる。

 そして彼女のゴールを自分のゴール以上に喜ぶのだ。このリスペクトが安藤を一歩多く走らせ、より強くさせるエネルギーの源になっている。

 この3回戦は安藤の出身地である栃木県で開催され、スタンドには家族、親戚、幼い頃の恩師など馴染み深い人たちの姿もあった。そんな特別なステージでの会心の2ゴールだった。

「やっぱりFWは楽しいです。ゴールするって一番難しいと思うんですけど、そこにチャレンジしていくっていうのも楽しい。楽しんでやらせてもらっています」

 これだけ充実感と楽しさを味わいながら挑戦を続けられる選手がいるだろうか。自ら伸びしろを作り上げていく安藤梢の最年長ゴールの記録更新は、12月29日の決勝まで――まだまだ続く。

浦和Lの安藤梢。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
浦和Lの猶本光。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
浦和Lの高橋はな。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

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[取材・文・写真:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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