なでしこリーグ開幕。スフィーダ世田谷が中山さつきの2ゴールなど快勝
スフィーダ世田谷が開幕戦勝利!写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
神川明彦監督のもと、「いい守備からいい攻撃へ」。
日本初となる女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)が今秋開幕する。しかし、ここまで30年以上国内で女子サッカーを繋いできたのが「日本女子サッカーリーグ」であり、アテネ五輪で注目を集めた2004年からは「なでしこリーグ」として、愛称が正式名称となる変遷を経て定着してきた。
そうしたなか3月の最終週、新たな立ち位置となった「なでしこリーグ」が開幕した。WEリーグに参入する9チームが離れたものの、再編成された12チームで新たな船出を切った。
昨シーズン、なでしこリーグ2部で大接戦を制して優勝を手にしたスフィーダ世田谷FCは開幕戦、ホームの駒沢陸上競技場に前年勝ち星を奪えなかった(1分1敗)大和シルフィードを迎えた。高まるモチベーションがそのまま試合に表れた。
S世田谷は開始55秒、大竹麻友からのパスを受けた竹島加奈子が、スライディングに来るDFを交わし、角度のないところから狙ったシュートを決める。早々に先制点を挙げた。
「利き足(左足)ではないことは分かっていましたが、入ると信じて(右足で)蹴りました」
竹島はそのように振り返る。
今シーズン伊賀FCくノ一三重から移籍してきた新加入選手が、ファーストシュートを仕留めるという初モノ尽くしの先制ゴールだった。
さらにS世田谷は63分、交代したばかりの中山さつきがDF裏への難しいボールに頭で合わせる技ありのゴールで、一時膠着していた状況を打破。すると流れを掴んだホームチームが続けて2ゴールを加点し、終わってみれば4-0の圧勝を収めた。
「いい守備から攻撃をするというキーワードを軸に1週間やってきた」
神川明彦監督の言葉通り、すべてのポジションにおいて一人一人のボールに対するプレッシングが効いていた。
センターバックの渡辺瑞稀はゴール近くで相手を背負っていても、先手を取ってプレスをかけているため、体を入れる角度など余裕を持って対応できていた。また、3ゴールに絡んだ大竹は昨季MVPの実力が健在。攻撃面での貢献はもとより、素早い切り替えからのファーストディフェンスが秀逸だった。神川監督の意図する形が開幕戦で具現化できていることは大きなプラス材料だ。
昨年まで女子サッカーの代名詞になっていた選手の多くはWEリーグへ活躍の場を移した。そうしたなか、S世田谷が目指すサッカーを貫くことができれば、おのずと注目を集めるに違いない。来季WEリーグへの昇格できる可能性もある(降格は当面なし)。今後のなでしこリーグを牽引する存在になり得る可能性を十分に感じさせる開幕戦だった。
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[取材・文・写真:早草紀子]