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「光より多くの影を残した」香川真司、紙一重だったサラゴサでの1シーズン

香川真司。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

シーズン終盤の勝負どころ、あるいはプレーオフで1ゴール決めていれば、評価は一変していた。

 スペイン2部リーグのレアル・サラゴサに昨季所属した香川真司だが、EU外の外国選手枠から外れたことを受けて、クラブと契約解除したうえで新天地を模索することになるという。候補に挙がっているCEサバデルだが、年俸を10万ユーロ(約1200万円)までしか出せず。そのためサラゴサは香川に対し契約期間2021年6月までに支払う予定だった60万ユーロ(約7400万円 ※媒体によって40万ユーロなど金額がまちまち)との差額を補填する案が出されているそうだ。

 スペインメディア『エル・デスマルケ』は9月30日、サラゴサは当初一切香川には支払わない姿勢を示していたものの、負担額の半分以上を支払うことで合意したと伝えている。同メディアは香川の退団について、「日本人ミッドフィルダーは光よりも多くの影を残して、たった1シーズンで終わることになった」と記している。

 昨年夏、エスタディオ・デ・ラ・ロマレーダに約7000人のサポーターが集まり、日本代表MFのボルシア・ドルトムントからの加入を盛大に祝福した。開幕当初、サラゴサの「23番」はレギュラーで活躍したものの、次第に控えに回る機会も増える。それでも香川が試合に出た時の勝率は高かった。

 ただパンデミックが起きたあと、無観客試合で再開されると、香川は再びプレー時間を減らし、自動昇格圏の2位をキープしていたチームは最終的に5位でシーズンを終え、プレーオフに回った。2018-19シーズンが15位だったサラゴサを引き上げた一人が、香川だったのは間違いない。ただ、この終盤にあと何度か、いや、あと1ゴールに関わっていれば、チームを自動昇格に導き英雄になっていたかもしれなかった――。

 さらにプレーオフのエルチェCF戦、香川は2試合ともトップ下で先発起用された。しかしチームは主導権を握りながらも0-0、0-1で敗退を余儀なくされた。ここでも一発決めていれば、たちまち評価は一変していたに違いなかった。

 まさに表裏一体であり紙一重のシーズンだった。もちろん2年契約を結び、今季こそ勝負のシーズンと意気込んでいた香川が、まさか戦力外の扱いを受けるとは予想だにしなかったはずだ。

 それにシーズン終盤、サラゴサ・サポーターの熱く温かい声援を受けながらプレーできなかった。ある意味では、新型コロナウイルスの影響を受けた“被害者”の一人と言えるかもしれない。

 スペイン国内でのプレー続行を希望する香川には、サバデルのほか、ラージョ・バジェカーノ、柴崎岳も所属するCDレガネスが、獲得を検討していると言われる。

注目記事:お金より夢!香川真司が年俸1200万円でサバデル加入か。サラゴサ約3600万円補填

[文:サカノワ編集グループ]

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