【考察】監督はレッドブル出身、南野拓実のサウサンプトン起用法は?
サウサンプトンが公式サイトで南野拓実の獲得を発表。※「southamptonfc.com」のフロントページより
最近7試合で2得点のみ、いずれもセットプレー。得点力アップに期待!当面はサイドハーフ起用か。
イングランド・プレミアリーグのサウサンプトンFCが2月1日、リバプールFCに所属していた日本代表FW南野拓実の2020-21シーズンいっぱいまでの期限付き移籍での獲得を発表した。
26歳の日本代表FWは昨年12月19日に行われた14節のクリスタル・パレスFC戦(〇7-0)、左ウイングでスタメン出場し、前半3分にリーグ戦自身初ゴールとなる先制点を決めた。しかしその後のリーグ戦7試合で出番は1試合のみ。一方、ケガから復帰したジェルダン・シャキリやディボック・オリギが出場機会を増やしていた。出番を求めてサウサンプトンに新天地を求めた。
サウサンプトンはこの移籍市場で、アタッカーを補強ポイントにしていた。同じくリバプールに所属しているネコ・ウィリアムズやイングランド2部チャンピオンシップのAFCボーンマスに所属するジョシュア・キングの獲得を狙っていたものの交渉は決裂。そこでターゲットを南野に切り替えたというのだ。
新型コロナウイルス感染拡大によりサウサンプトンの財政事情もかなり厳しく、40万ポンド(約5730万円)という安価なローン費用も魅力で、最終日に南野との契約まで持ち込んだ。
サウサンプトンの監督はオーストリア出身のラルフ・ハーゼンヒュットル監督。RBライプツィヒで2年間監督を務めた、前線からのハイプレスを基調とするいわゆる“レッドブル派閥”の一人である。ハーゼンヒュットル監督は同系のRBザルツブルクでプレーした南野が新たな攻撃のオプションとして、すぐ戦力になると見込んだに違いない。リバプールのユルゲン・クロップ、ハーゼンヒュットルともに、ラルフ・ラングニックの薫陶を受けている点で、戦術的な共通項は多い(異なる点ももちろんある)。
サウサンプトンの基本布陣は4-2-2-2。2トップが前線から相手CBにプレスをかけてボールをサイドのいずれかに誘導し、後方のサイドハーフと中盤とSBが一気にボールサイドに寄って人数をかけてボールを奪う。そこから手数をかけずカウンターでゴールを仕留めるというスタイルだ。
また今シーズンは後方からのビルドアップにも力を入れている。そうした速攻だけに頼らない攻撃の構築が奏功して、シーズン序盤は好調をキープ。リーグ戦13節終了時点では4位につけるなどビッククラブが苦しむなかで躍進を果たしていた。
しかしその後はケガ人が続出した影響を受け、最近は直近リーグ戦7試合で1勝2分4敗と失速。この間わずか2ゴールのみ。しかもいずれもセットプレーからの得点で、オープンプレーからは1か月半ほどゴールを奪えてない深刻な状況にある。そのため、1試合未消化ながら、20節終了時点で8勝5分7敗(27得点・25失点)の勝点29で、順位を11位まで下げている。
サウサンプトンの2トップは、昨季リーグ22ゴールを挙げたダニー・イングスと今季4得点・4アシストの活躍を見せるチェ・アダムズが務める。南野がトップでの起用を目指すとなると、彼らと競うことになる。
しかしサウサンプトンはアーセナルFCでも活躍し、現状サイドハーフを主に務めるテオ・ウォルコットがケガで離脱中である。さらにサイドバックや中盤にも負傷離脱の選手がいるため、サイドハーフを務めるムサ・ジェネポがSBに回り、同じくサイドハーフを務めるスチュアート・アームストロングも中盤でプレー。つまりサイドハーフが特に不足している。
この点で南野はまずサイドハーフで起用されそうだ。出場機会を求めている南野にとって、チャンスがあるという意味では最適な移籍先と言える。
しかしいくらザルツブルクでの経験があるとはいえ新天地でフィットするには一定の時間がかかるもの。半年という短い期間でサウサンプトン特有のスタイルにどれだけ早く馴染めるのか。狙い通りに、最初からある程度フィットするのかは一つポイントになる。
またリバプールは、サウサンプトン側からの買い取りオプションの申し出を拒否している。リバプールが南野を来シーズン以降の戦力と見なしているようだ。
『スカイ』によると、南野は現地時間2月6日(日本時間7日0:00開始)に行われるニューカッスル・ユナイテッドFC戦で早速メンバー入りするのではないかと言われている。まずサウサンプトンで「結果=得点」を残すことで、チームを再び浮上させること。セインツ南野が悔しさと経験――イングランドで蓄積した様々な糧を生かし、未来を切り開く。
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[文:小林優麻]