なぜ人種差別騒動に!?「寿司の国」発言の顛末。室屋成のシュートから…
ハノーファーの室屋成。 (Photo by Alexander Hassenstein/Getty Images)
サポーターからの指摘にレポーターが反論。クラブも火消しに。
ドイツメディア『ビルド』や『シュポルト・ブッツァー』はこのほど、『スカイ』のレポーターが試合終盤のチャンスでシュートを外したハノーファー96の日本代表DF室屋成に「彼が最後にゴールを決めたのは寿司の国でのことです」と発言したことについて、ファンから人種差別ではないか? とSNSで指摘されたことをレポートした。ドイツで話題を集め、ハノーファーの広報担当者がコメントするまでに至った。
3月6日に行われたドイツ・ブンデスリーガ2部FCエルツゲビルゲ・アウエ対ハノーファー戦、1-1で迎えた試合終盤、室屋がシュートを放ったが決め切れなかった。するとレポートしていたヨルク・ダールマン氏は、次のように語った。
「彼にとって96(ハノーファー)での初ゴールになっていたかもしれません。彼が最後にゴールを決めたのは寿司の国でのことです」
そのように日本(Jリーグ)を「寿司の国」とたとえ、FC東京では得点を決めているものの、まだドイツではノーゴールであることを伝えた。
すると、ファンからSNSで「寿司の国」とは人種差別発言ではないかと指摘を受けたのだ。これにダールマン氏も反論し、「普段はどうでもいいことに反応しないようにしている。しかし日本を寿司の国と表現して、それがレイシズムにあたると言うのか? 正気か!?」とキレたのだ。
結果的にこのやりとりが、人々の関心をより駆り立てた。
試合結果を大きく左右するシーンだっただけに、人によっては、室屋に対する皮肉めいた発言のように聞こえたに違いない。また『ビルド』は同氏が最近、女優のソフィア・トマラ氏を“年取ったダンディ”と言ったことで反感を買っていたことも伝えている。さらには、「薄っぺらい内容だった試合よりも、こちらの話題でファンも沸いている」とも揶揄している。
まさかの騒動を受けて、ハノーファーの広報は『ビルド』に対し、次のようにコメントしている。
「面白い言い回しのようですが、上手くいったとは言えませんでした。とはいえしかし、ヨルク・ダールマンが人種差別的な態度を示したりそれに似た主張をしたというのは、まったくもって不合理です」
クラブがそのように火消しをしたことで、騒動は収束しそうだ。
ハノーファーはアウエとの痛恨の引き分けにより、リーグ4試合勝ち星なし。勝点35の8位で、まだ望みはあるものの1部昇格争いには食い込めずにいる。調子を上げてきた室屋、それに原口元気には、日本を代表する選手であり助っ人でもあるだけに、ハノーファーに勝利をもたらす活躍を期待したい。
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[文:サカノワ編集グループ]