【移籍の真相】「浦和か湘南に絞っていた」山田直輝が最終決断を下すまで――

写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

「どちらを選んでも正解」

 湘南ベルマーレに期限移籍中だった山田直輝が来季浦和レッズに復帰することが、12月7日に両クラブから発表された。浦和のまさに地元である北浦和で育った山田ほど、浦和のサポーターに愛されてきた選手は数少ない。リーグ終盤を迎えた頃、大原練習場を訪れていたサポーターの間でも、「直輝は戻ってくるのか」「もう決まっているそうだ」「いやいや、残るだろう」と噂が絶えなかった。

 山田直輝はいつの時点で浦和復帰を決めたのか。

 11月29日の湘南の練習場である馬入グラウンドを訪れた。正午過ぎ、練習を終えて、クラブハウスに引き上げる山田に声を掛けた。こちらの意図を見透かすように「何ですか?」と煙に巻こうとする山田だったが、周りに誰もいなくなったことを確認し、時間もないと思い単刀直入に聞いてみた。

――浦和からは期限付き移籍の立場でもある。来季は?

「浦和でも湘南でもどちらでも正解だと思う。浦和か湘南か。このふたつにもう絞っている」

 発表の日から考えると、この頃には、彼のなかで決意が固まっていたことが分かる。J2の湘南では39試合(3030分)に出場し、5ゴールを決めた。攻撃を牽引し、J1返り咲きの立役者となった。何より以前に負った大ケガの影響は微塵も感じさせず、チャンスを掴めばケガを負ってしまった過去と完全に決別し、1年間フルに戦いきった。

 そんな彼が何より大切にしてきたのが、心のどこかでサッカーを楽しむこと。それを身をもって経験したのが、16年シーズンだったという。J1の舞台で戦っていた湘南は最終的に10連敗を喫し、チームも彼も自信を失った。山田は負けが混み始めた時期について、「僕がケガをしていた頃のように、みんな辛そうにサッカーをやっていた。それを見て、戦いながらもどこかで楽しんでやらなければと思ったんです」と振り返る。ちょうどその頃から、山田は思い切った彼らしいプレーを出せ始めたという。

 そして最後の全5試合に出場し、2勝1敗2分けの成績を収めた。チームはJ2降格が決まってしまったものの、縦横無尽にピッチを駆け回ってボールに触れる山田らしい姿がそこにはあった。

 2017年の彼はあるべき姿を見せつけて、J1昇格を果たした。それだけに、湘南でプレーを続けたいという思いと、浦和でチャレンジしたい思いと、そこから何度も揺れた。

 彼は決断を下した。4年ぶりの浦和復帰へ――。目標はまずシンプルに、浦和でのレギュラー獲り再挑戦だ。熱きサポーターの前で、赤いユニフォーム姿を見せる日が早くも待ち遠しい。

取材・文:佐藤亮太(レッズプレス!!)

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